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「待ち合わせてホテルに行って、セックスしながら撮られるだけ。いつもそんな感じ。自分からモザイクとか無修正とか確認しない。本番ハメ撮りとか、口とか手だけとか、フェチ系とかパンチラとか、水着とか下着とか、いろいろ。ヌードのポートレイトの依頼も来ます。今月は週5日とか、毎日撮影。一日2本のときもある。同人AVの仕事がたくさん来るからソープの出勤を減らしました」

 2年前にホス狂いになってから、ソープランドに鬼出勤して、無修正の映像が出回る同人AVモデルになっている。毎月三桁の金額を稼いでいるが、家賃と生活費を除いてほぼすべてをホストクラブで使っている。

同人AV嬢の素顔「東北出身、テニス部、介護会社に就職」

 歌舞伎町二丁目に到着した。時間は21時30分。ホスト通りと呼ばれるホストクラブ密集地帯がにぎやかになる時刻である。

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 ホスト通りは区役所通りから一本奥に入った所にある。どこを眺めても20代前半であろう若い女の子とホストだらけだ。一昔前に歌舞伎町の主役だったサラリーマンや中年男性の姿は、どこにも見えない。中年女性の姿も見えない。とにかくZ世代の若い女の子たちであふれかえっている。

 いまの歌舞伎町の主役は風俗嬢やキャバ嬢にお金を落とす中年男性ではなく、お金持ちのマダムでもなく、Z世代の女の子たちなのだ。

※写真はイメージです ©文藝春秋

 宮下あさ美が通うホストクラブが入るビルに到着した。担当から「待っているよ!」というLINEが入っているようだ。最後に立ち話で、彼女の経歴を早足で聞いていく。

 東北出身。7年前に大学進学のために上京している。高校時代はテニス部だった。歌舞伎町に関わって2年――いまの彼女は抜弁天の発狂者が続出する事故物件マンションで暮らし、ソープランドで可能な限り不特定多数にカラダを売り、性器と結合部を丸出しにする無修正映像に出演しまくり、そうして稼いだお金をすべてホストクラブで使っている。

※写真はイメージです ©AFLO

「風俗やり出したのは4年前、大学卒業する直前。就職先は内定が出たけど、嫌になって年末に辞退した。そこから仕事を探したけど、時期が時期なので何も見つからなかった」

 両親は学費と家賃を払ってくれて、奨学金も借りていたので学生時代にお金に困ることはなかった。内定をもらったのは大手介護会社で、介護事業所に新卒入社する予定だった。

「内定もらった会社に9月から働いてほしいって言われてバイトした。卒論があったし、忙しかったので体力的にキツかったけど、おむつとかは抵抗なかった。シフトをつくっている人に週4日は無理って言ったけど、全然聞いてもらえなかった。結局、介護の仕事が原因で体調を崩して仕事に行けなくなっている状態を、誰も理解してくれない。さぼっているくらいに思われた」