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 チャールズ国王、ウィリアム皇太子両夫妻も、「タブロイド」と呼ばれる英大衆紙も、英王室という伝統と制度の代弁者に過ぎない。英国から王室がなくなれば二束三文の国に転落してしまうと筆者も懸念する。しかしタブロイドに同調してハリーとメーガンを条件反射的に叩いて日頃の欲求不満を晴らしても何も変わらない。

ウイリアム皇太子 ©getty=共同
キャサリン妃 ©getty=共同

 日本の小室圭さん、眞子さんの結婚騒動を見ても時代錯誤の不条理を守ることに何の意味があるのか筆者には分からない。『スペア』がノンフィクション本として史上最速の発売初日に143万部の売り上げを記録したのはハリーの口から語られる「真実」を多くの人が知りたかったという証でもある。200万部が発売された米国では早くも増刷が決まった。

オバマ元米大統領の回顧録より売れている

 何せバラク・オバマ元米大統領の回顧録『A Promised Land(約束の地)』より売れているのである。英王族がこうした回想録を出すのは、離婚歴のある米国人女性ウォリス・シンプソンと結婚するため、王冠を捨てたエドワード8世が1951年に発表した『ある王の物語』(筆者仮訳)以来のことだ。

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 当のハリーからインタビューした保守系英高級紙デーリー・テレグラフのブライオニー・ゴードン記者は「彼は目を輝かせ、現役王族としての最後の日にバッキンガム宮殿で会った時より、ずっと幸せそうで健康そうだった。2017年に初めてインタビューした時の緊張はどこへやら、自分自身にずっと安らいでいるような静かな自信に変わっていた」と報告している。