「ナンバーワンの敵」は英メディア
ハリーは『スペア』の中で、フリート・ストリートで働く人々(かつて多くの新聞が本社を構えた通りで英メディアのことを指す)を「間抜けでだらしない恐ろしい集団、低俗な犯罪者、臨床的に診断可能なサディスト」と表現しているが、それでも「より丁寧な表現だ」とゴードン記者は言う。ハリーにとって「ナンバーワンの敵」は英メディアなのだ。
『スペア』を発表した理由について、ハリーは「王室を崩壊させようとしているのではなく、王室の呪縛から王室を救おうとしているのです。それを語れば多くの人から磔にされるのは分かっています。しかしこれは私の使命のように感じています。だって母を奪い、恋人だったキャロライン・フラック(自殺)を奪い、妻を奪いかけたんだから」と打ち明けている。
削られた原稿「そこまで書くと…」
最初の原稿は800ページだったが、400ページに削られた。
「2冊の本になったかもしれない。家族のことを書くとなるとそれなりに大変なんです。家族抜きで私の物語を語ることは不可能です。私と兄の間、ある程度は父との間で起こったことでどうしても世間に知られたくないことがあるんです。なぜなら彼らが私を許してくれるとは思えないから」
「私が偏執狂だと言う代わりに、私と一緒に座ってこの件についてきちんと話してほしいんです。私が本当に欲しいのは納得できる説明です。そして妻に謝罪してほしい」
とハリーは訴える。これは脅しなのか。スペインで翻訳版が5日も早く店頭に並んだことや英紙ガーディアンへのリークは妨害なのか、それとも巧妙な販売戦略なのか真相は闇の中だ。
ハリーの後ろで糸を引く“陰のプロデューサー”は間違いなく元米女優のメーガンだろう。生き馬の目を抜く米ハリウッドの荒波にもまれたキャリアウーマン。英タブロイドのプライバシー侵害を訴える一方で、自分たち寄りのメディアやジャーナリストを選別し、注目を集めるため他王族のプライバシーを切り売りするのをためらわない。
『スペア』の中で、メーガンが結婚式のリハーサルについてキャサリン妃(現皇太子妃)に電話した際、「何かを思い出せないのは出産直後にはよくあることで“ベビーブレーン(赤ちゃん脳)”よ。ホルモンのせいだわ」と発言し、キャサリン妃が「私たちはホルモンの話をするほど親しくない」と気分を害したエピソードが明らかにされている。