“ピエリ守山”と聞いて、ピンとくる人はなかなかの廃墟マニアだ。琵琶湖のほとりにある滋賀県最大級のショッピングモール「ピエリ守山」。しかし、この商業施設が有名になったのは、今から約10年前だ。200店舗あったテナントが経営不振で次々に退店し、末期には10店舗まで減少。巨大な施設に人影がなくなり、施設内の照明だけが煌々と灯され続けたことから、「明るい廃墟」と揶揄されてネットで話題になった。
当時、ブログに投稿されたピエリ守山の写真を見たことがある。路面店のようにシャッターがないので、施設の奥には閉店したお店の闇が果てしなく続く。にもかかわらず、通路の照明が明るいので、余計に不気味さが漂う。施設内の通路には誰も歩いておらず、忽然と人が消えてしまったSF映画のワンシーンのようにも見えた。
ひやかし半分で、「明るい廃墟」に行ってみたいと思う時期もあった。しかし、いつしかピエリ守山の名前は記憶の彼方に消えてしまい、興味すらなくなっていた。
「ピエリ守山を取材してくれませんか?」
編集者から連絡を受けた時、10年前に流行った廃墟モールを今さら取材して意味があるのかと思った。しかし、次に飛び出してきた言葉に耳を疑った。
「ピエリ守山、今、大盛況なんですよ」
あの巨大なお化け屋敷のようなショッピングモールが復活した!? 慌ててネットで現在のピエリ守山の情報を追いかけてみた。すると、たしかに劇的な変化があったことがうかがえる文言が踊っていた。
「廃墟」と呼ばれた滋賀県のショッピングモールが“超復活”
「ピエリ守山」が劇的な復活を遂げていた!
滋賀の「明るい廃墟」が人気復活。
どのようなマーケティング戦略を駆使して、廃墟が復活したのか? 経営コンサルタントという立場上、V字回復までのストーリーが知りたくなった。新幹線と在来線を乗り継ぎ、ピエリ守山のある滋賀県に向かった。
有名アパレルブランドがずらり…ピエリ守山の今
琵琶湖大橋のたもとにあるピエリ守山は、ショッピングモールの中でも比較的大きな部類に入る。
運営元の双日商業開発のホームページによると、敷地面積は約13万平方メートル。東京ドーム約3個分のスペースに、2800台の駐車スペースと、130の店舗が入る施設を構える。