1月26日、ソウル・汝矣島にある百貨店「ザ ヒョンデ ソウル」で始まった「THE FIRST SLAM DUNK POP-UP STORE」(2月7日まで)にはファンが殺到した。ストアには、限定版のユニフォーム、フィギュア、パーカーなどファン垂涎の200種類のグッズが揃えられている。
『スラムダンク』原作を高校時代に読んで、それからファンだという40代女性が言う。
「昨日(25日)の夕方5時に来たのに、第一陣の入場者に入れなくて、ストアに入った時には買いたかったチョン・デマン(三井寿)のユニフォームはすでに売り切れ。1人5着まで購入が可能だったそうなのですが、もっと制限すべきだったのではないでしょうか。ストア側に抗議しているところです」
今回の映画を観てファンになったという20代の男性は、ソウル郊外在住のため、アルバイトを雇い、前日から泊まり込んでもらったと話していた。本人は朝の7時に来たが、アルバイトのおかげで「買いたかったベッコ(桜木花道)のユニフォームも買えた」と満足げな様子だった。
30代〜40代からの絶大な人気を誇る『スラムダンク』
映画『THE FIRST SLAM DUNK(ザ・ファーストスラムダンク)』が韓国で大旋風を巻き起こしている。
公開3週間で累計観客動員数158万人を記録し、原作人気も急上昇。漫画本全巻セットは総合ベストセラー1位に浮上し(インターネット書店「YES24」)、日本の漫画を販売する「アニメイト」でも山積みになっていた。
1巻を手にしていた男性(20代大学生)に話を訊くと、「従兄弟に勧められて映画を観たらむちゃくちゃ面白くて、最初から読んでみようと思って買いに来ました」と言っていた。バスケットボール人気も再燃し、関連用品の売り上げも伸びるなど、人気が波及している。
1990~96年、『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された漫画『スラムダンク』は、韓国では92年から96年にかけて漫画雑誌『週刊少年チャンプ』(テウォンCI)に連載され、やはり絶大な人気を誇った。
当時の韓国では日本の大衆文化は開放前だったため、登場人物や学校名などすべてが韓国名に変わっており、たとえば、漫画の主人公、桜木花道はカン・ペッコ、映画の主人公、宮城リョータは、ソン・テソプという名で記憶されている。そのため、その名前を音声で聞きたいと吹き替え版を要望する声が多く、当初8対2の割合で上映されていた字幕版と吹き替え版は、現在は6対4の割合で上映されている。
知り合いの42歳の男性(会社員)も小学校から中学校時代にかけて、当時のバスケットボ―ル人気もあって、むさぼるように読んだという。
「当時は韓国でもNBA人気でバスケットボールブームが起きていて、『スラムダンク』を手に取りました。読んでみると、ひとりひとりのキャラクターが最高で、あっという間にストーリーにのめり込みました。とにかくかっこよかった。
アニメーション版は正直、動きがいまひとつだと思ったんですけど、映画は完璧。試合の躍動感といい、ユニフォームが揺れる細かい描写までリアルで、レジェンドの漫画がこんなふうに動くなんて夢みたいです」