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立ち入れぬトンネル、崩れ落ちた木橋…45年前に消えたローカル線「尾小屋鉄道」の廃線跡がディープすぎた

立ち入れぬトンネル、崩れ落ちた木橋…45年前に消えたローカル線「尾小屋鉄道」の廃線跡がディープすぎた

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林の中には苔むした枕木や、切り倒された電柱が…

 林の中を進んでいくと、坂井さんが「このあたりに、埋まったまま苔むした枕木があるんです」と教えてくれた。

廃線跡を目指して森の中を突き進む

 しかし、苔がたくさん生えているため、一見すると朽ちた木と見分けがつかない。坂井さんによると「枕木には、レールを固定するための『犬釘(いぬくぎ)』が埋め込まれている」ので、それを見て枕木かどうか判断するそうだ。

 足元に目を凝らして歩いていると、釘の頭が飛び出た木片を発見した。これが当時の枕木だ。

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木片から釘の頭が飛び出しているのが分かるだろうか

 枕木を見つけた場所の周辺には、当時の通信線の電柱跡が根元を残したまま埋まっている。チェーンソーで切り倒されたあと、そのまま放置されたのだという。

 また、尾小屋駅からの距離を示す「キロポスト(距離標)」も発見。「キロポストに『1』と書かれているので、尾小屋駅からここまでの距離が1キロであることを意味しています」と坂井さん。

通信線の電柱跡
「キロポスト(距離標)」も発見

 林の奥まで進んできたので、来た道を振り返ってみた。すると、道の両端が少しくぼんでいることに気づいた。写真ではわかりにくいかもしれないが、このくぼみは、かつてレールが敷設されていた名残りなのだ。

レールが敷設されていた名残りで、道の両端がくぼんでいる

堂々した姿でそびえ立つ木橋の遺構

 さらに林の中を進んでいくと、郷谷川(ごうたにがわ)のうえに架かっていた木橋の遺構が、堂々とした姿でそびえ立っていた。

 数年前までは木造の橋が残っていたそうだが、すべて朽ちて川に落ちてしまったため、現在は橋脚しか残っていない。