文春オンライン

連載池上さんに聞いてみた。

あれ、前にも似た話が…?「バイデン大統領の自宅から機密書類発見」ニュースが灯す“赤信号”とは?

あれ、前にも似た話が…?「バイデン大統領の自宅から機密書類発見」ニュースが灯す“赤信号”とは?

池上さんに聞いてみた。

2023/02/01

genre : ニュース, 国際

note

Q あれ?前にも似た話が…?「バイデン大統領の自宅から機密書類発見」ニュースが与える影響

 アメリカのバイデン大統領の自宅から機密文書が見つかり、政治的な問題になっていると聞きました。1月13日に行われた日米首脳会談で(通常は終了後に行われるはずの)共同記者会見が設定されなかった一因になっているともいわれています。

 ただ、同じような話をトランプ前大統領でも聞いた記憶があり、また先日もアメリカ議会の議長がなかなか決まらなかった問題も記憶に新しいので、お互いにお互いを批判できないのでは……? と単純に思ってしまいます。大統領選挙もまだ先のアメリカで、実際のところこの問題はどれほどの影響を与えているのでしょうか。(30代・男性・公務員)

A バイデン大統領に「赤信号」が…

窮地に追い込まれているバイデン大統領 ©時事通信社

 これはバイデン大統領にとって、次の選挙への立候補に赤信号がともるマイナス要因です。

ADVERTISEMENT

 ご指摘の通り、トランプ前大統領も機密文書を自宅に持ち帰っていました。トランプ前大統領の場合、持ち出した文書は大量で、公文書館が引き渡しを求めても、なかなか返そうとしませんでした。

 それに比べれば、バイデン大統領の場合は分量も少なく、すぐに返還しているので、トランプ前大統領ほど悪質ではないのですが、文書が見つかったのは去年11月の中間選挙の投票日の前だったのに、選挙が終わるまで公表していなかった点が問題視されています。また、「トランプ前大統領のことを非難していたのに、自分も同じことをしていたじゃないか」と言われると、弱いのですね。

トランプ氏のときとは打撃が違うという ©JMPA

 共和党議員たちは、トランプ前大統領のときは沈黙していたのに、バイデン大統領になると激しく非難しています。言動が極めて党派的なのです。フェアではないと言えますが、トランプ前大統領の場合、「トランプならやりかねない」とみんなが思ってしまって、厳しく追及されないという現実があります。

 その点、バイデン大統領は「堅実で真面目」と思われていただけに、打撃は大きいのです。このままでは次の選挙に立候補はできないのではないかと思っています。

あれ、前にも似た話が…?「バイデン大統領の自宅から機密書類発見」ニュースが灯す“赤信号”とは?

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー