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こき下ろしたシャルリーに激怒したイランは“報復の可能性”を警告

「1月7日」号では、応募作のうち、35点の作品を紹介するとともに、常連作家たちが全編、イランの宗教指導者をこき下ろした。

 表紙を描いたのは現在の編集長でもあるRissで、この催しについて次のように社説で述べている。

 1979 年以来抑圧を続ける神権政治から、命がけで自由を守ろうとしているイランの男女への、私たちの支持を示す方法である。そして8年前にシャルリーの漫画家と編集者が殺された理由を問い直す方法でもある。残念ながらいまだに、宗教の専制に服従することを拒む者は、命をかけてその代償を払う危険があるという事態が続いている。

 これに対し、イランの反応は早かった。発売日の1月4日、ホセイン・アミール=アブドラヒアン外相はツイッターで、フランスへの報復の可能性を警告した。

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「宗教的および政治的権威に対する似顔絵を掲載するフランスの出版物の、侮辱的でわいせつな行為は、効果的かつ断固たる対応なしには済ますことができない。我々はフランス政府が限界を超えることを許さない。彼らは決定的に間違った道を選んだ」

ホセイン・アミール=アブドラヒアン外務大臣の投稿では早速警告が

 外務省も公式コメントを出し、言論の自由を宗教上の人物を「侮辱する」口実に使うべきではない、フランスが「フランスの出版物における反イスラム主義の表現と人種差別的憎悪の広がりを前にして、まったく行動を起こしていない」と非難し、「そのような憎しみを広める著者」への処罰を要求。「最初のステップとして」テヘランのIFRI(フランス国際関係研究所)を閉鎖した。

ハッキング被害に加え、集会では「フランスに死を!」と絶叫が

 その後、シャルリーはハッキングの被害も受けた。何者かがネット掲示板でシャルリー・エブドの内部機密情報と20万人の「顧客」個人情報を盗み取ったとして、情報のサンプルを出し、20ビットコイン(32万ドル相当)を要求した。

 またYouTube では、「Holy Souls」名で「聖霊が『シャルリー・エブド』の顔から仮面をはがした」とハッキングされた文書の抜粋が流された。ツイッターでもいくつものアカウントがつくられ、「政府の支援でシャルリー・エブドの経営が成り立っている」などとツイートしている。(「ル・モンド」2023年1月6日発信)

 1月8日にはテヘランのフランス大使館の前で数十人のイラン人が集まり、フランスの国旗を燃やし、マクロンをヒトラーや悪魔になぞらえたりして抗議した。聖地コムでも集会があり「フランスに死を」と叫んだ。