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――おじさんがおじさんにナニやってんですか(笑)。

有田 お尻を見せると、そのおじさんもすごい喜んでくれて(笑)。でも、そんなくだらないことでも支えになるというか。僕は、芸人が売れないから不幸になるっていう発想が嫌いなんですよ。やりたいことをやれればいいんじゃないかなって思っている。だから、やりたいことを続けられなくなるのがすごくかわいそうで。

 こういうお店にも言えることなんですけど、どこかに基盤さえあればやれるのにって思います。本気じゃないと言われたらそれまでなんですけど、すべてを犠牲にしてやるのが芸人だ――みたいな発想は、僕にはあまりなくて。

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 楽しいことをやるのに、つらい顔をしているのってどうだろうなという気持ちの方が強い。金もなかったし 、テレビにも出られなかったし、めちゃくちゃつらかったですよ、僕も。でも、最近はそういうふうに思うんですよね。

©文藝春秋

「29万突っ込んだパチンコ台、もう引けないですよ」

――説得力があります。まったく知られていない芸人が言うと強がりに聞こえるかもしれないけど、有田さんは僕ら空耳ファンからすればまぎれもなくスター。そういう方が考える芸人観というのは、貴重な視座だと思います。

有田 僕は、芸歴29年です。29万突っ込んだパチンコ台、もう引けないですよ。30万で出るかもしれないですもん(笑)。それだけ芸人って楽しいものなんですよね。

 2021年には、あこがれのさまぁ~ずさんの番組に出させていただいて、夢が叶った。僕の一発ギャグに、「つまんねえな」ってつっこんでくれるのがすごい楽しかった。やっぱり自分が楽しいと思ったことって、ずっと続けたほうがいいと思うんですよね。ですから、空耳俳優も可能な限り続けていきたいですよ、やっぱり。

「小粋」のメニュー ©文藝春秋

――ただ、冒頭で教えていただいたように、コロナ的な事情やコンプラ的な事情があるという。

有田 昨年、『タモリ倶楽部』でユーミンさんの空耳特番を放送したとき、 すごい久しぶりに空耳のロケに参加したんです。ほんとに久々だったから、けっこうスタッフさんも入れ替わっていたんですけど、「有田さんで空耳をやりたいです」とか「ずっと見てました」みたいなことを言ってくれる若い子たちがいたんですよね。まったく売れてないのに、俺でいいの?って(笑)。

『タモリ倶楽部』って、子どもの頃から好きだった人が入ってきて、ADさんだった人がディレクターになって演出をやる――そのサイクルがずっとあるみたいなんですよ。