アクアラインの先にある“国道16号のほぼ終点の町”「木更津」には何がある?
木更津駅は、JR内房線の駅だ。
内房線は外房線とともに房総半島をぐるりと一周する鉄道路線で、1912年に木更津線の名で木更津駅まで開業した。それから南に線路を延ばしていって最終的には房総環状線になったのだが、それはまた別のお話。60年代の末には電化されて電車も来るようになり、長年木更津の町の玄関口としての役割を任じてきた。
木更津の駅は、ごくふつうの橋上の駅だ。内房線の他には久留里線というローカル線が乗り入れているが、ホームは2面4線とそれほど大きな規模ではない。東西に分かれている出入り口のうち、西側が海に近い。
反対の東側にも駅前から「あけぼの通り」という立派な通りがまっすぐ延びていて、周囲にはホテルや金融機関、商業施設などがある。歩いて3分ほどの場所には県立木更津東高校もある。ただ、歩いてみればわかるが、駅周辺の雰囲気はちょっぴり現代的だ。古い地図を見ると、1970年代以降に本格的に市街地化が進んだエリア。木更津の町の古くからの中心は、山側の東ではなく海側の西にあったのだ。
昭和の面影が漂う西口に向かうと…
そこでさっそく西口へ。どことなく昭和の面影が漂う、ちょっと薄暗い橋上駅舎の通路から階段を降り、駅前広場に出る。駅前にはいくつものバスがズラリと並んで待機中。
端っこにはイオンモールへのシャトルバスや、東京・新宿方面に向かうアクアライン経由の高速バスの乗り場もある。イオンモールへのバス乗り場にはずらりと人が並んでいて、やっぱりここでもイオンは地域最大の集客施設なんですね、ということを教えてくれるのだ。
で、そのバスが並んだ駅前広場の向こうには、古びた雑居ビルが建っている。駅前の超一等地というのに、賑わっているような様子はあまりない。スパークルシティ木更津というようで、中核テナントは木更津市役所の駅前庁舎。行政機関が入っている雑居ビルというのは、言っちゃあ悪いが廃れつつある駅前の典型的な風景だ。
しかし、もともとはこのスパークルシティ、「木更津そごう」が核テナントとして入っていた。開業したのは1988年で、2000年にそごうが撤退して、それからいくつかの変遷を経ていまに至っている。バブル崩壊後の90年代から00年代はじめまでは、地方都市の百貨店が次々と潰れていったご時世。そうした世の中の波に、木更津駅前も飲み込まれていたというわけだ。