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バブルがはじけた「木更津」を変えた2009年の出来事
そんな過酷な現実から、木更津はまた蘇る。それは『木更津キャッツアイ』……もある程度は関係していたのかもしれないが、むしろアクアライン通行料値下げが大きい。森田健作前千葉県知事の選挙公約だった通行料値下げは、公約通り2009年から実行に移され、当初は時限的だったが延長されていまも続く。
交通量は飛躍的に増え、駅からは離れた郊外に三井アウトレットパークやイオンモールなどが登場。東京の通勤圏内としてニュータウンの開発も進められた。一時的に減少傾向に入った木更津市の人口も、2010年代以降は再び増加に転じている。
つまり、木更津駅を降りて町を歩いて眺めた風景は、バブル崩壊とアクアラインに翻弄された中心市街地の跡地、というべきものなのだ。
房総の物資輸送を一手に担った江戸時代の繁栄は、一部に残るスナック街で知ることができる。駅前の“旧そごう”の雑居ビルは、中心市街地空洞化の象徴。しかし、それでも郊外には大型商業施設ができて、駅から離れていてもニュータウンの開発が進む。
木更津駅の駅前風景だけをもって、木更津って廃れていますねえ、などと安易に断じてはならない。地方都市のほんとうの姿は、むしろ鉄道や駅とは無関係なところに広がっているのだ。
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