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売ろうにも売れない、貸す相手もいない

 さて、この第一世代空き家です。自分自身が育った家は愛着こそあれ、すでに都市部で家を持ち、家族を育ててきた人たちにとって、故郷は遠きにありて想うだけの存在になっています。家としての使い道がなく、さりとて売り払うことはご先祖様に申し訳ない、と思う一方、実は地元に流通マーケットはすでになく、売ろうにも売れないものとなっているのが実態です。もちろん貸す相手もいません。時たま故郷に戻って通風、通水、掃除などをしますが、どうにも未来が見通せない家となっています。

 地方ですから毎年課せられる固定資産税はそれほどの負担ではありませんが、家の劣化は否応なく進みます。地方の家は広く、大きく、その維持管理は、税金は別として大きな負担となります。

 そしてこれから問題をさらに深刻にするのが、使い道のなくなった地方の実家をそのままにしていると、もう一世代先、つまり孫世代に相続されていくということです。孫の代ともなれば、祖父母のいた地方の家にそもそも愛着はありません。ただ先祖代々の家という肩書だけが残され、その継承を迫られることになります。

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※写真はイメージです ©AFLO

相続するメリットはゼロ

 孫の代にとっては地方の実家(というよりも元実家とでも言いましょうか)はどうにも扱いに困った存在になってきます。せめて親の代で始末しておかないと、すでに地元での人間関係もない中で、この家を相続するメリットは何もありません。

 地方でもある程度の規模がある、立地が良い、など条件が整えばアパートや賃貸マンションを建設する、更地にして売却するなどの活用方法もありますが、人口減少、高齢化が続く多くの地方では、住宅としての役割を終えた不動産の扱いはなかなか困難なものとなっています。

 よく地方の実家を相続して、なんとか活用方法を見出そうとして行動を始める人がいますが、注意する必要があります。私の知り合いの事例です。