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20年以上にわたる介護、進歩した部分もあるけど…

ーー20年以上にわたって親御さんを看られたわけですが、介護を取り巻く環境はどう変わったと感じます? 

渡辺 介護という言葉が一般的になったのは、2000年の介護保険制度スタートというニュースあたりじゃないかと感じます。ニュースになると一気に言葉が広まるので、共通認識として話やすくなるし、連携しやすくなるし、裾野も広がりますよね。 

 福祉用具なども進歩して種類も増えました。私は母の移動もあったので福祉車両に乗っていたのですけれど、助手席が電動でスムーズに外に出るようになっていて、乗り降りしやすい上に車椅子への移動も楽なんです。トヨタの技術者の方が、何年も掛けて研究開発したものだと記事で読んだことがあります。

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 介護という共通認識が生まれる中で、技術も進んで、選択肢も増えてきたことは事実だと思います。 

ーー今ではすっかり誰もが避けて通れないこと、という認識が広がっています。

渡辺 その分、介護という言葉が「大変」「悲惨」といったステレオタイプなイメージだけを連想させてしまう影の部分も感じます。光と影は、事象でも言葉でもどうしてもセットなのですけど。

 何より介護という言葉の認知度に対して、制度が充実して現状をカバーしているかというと、現場の頑張りでなんとか保っているという実態はあるように思います。 

ーー「現場の頑張りで保っている」を具体的にいうと?

渡辺 介護職の方々への手当てが十分ではないという現実があっても、実際に介護を必要としている方やその家族と日々接しているヘルパーさんとしては、なんとかしてあげなきゃと、気力と体力で頑張ってしまうケースは多いように感じています。利用者を目の前に、介護の仕事に真摯に向き合おうとすればするほど。 

 

 福祉や社会保障の分野で、どうやって予算や人員を配分していくかは難しいですけれど、現場の頑張りに頼りすぎていたら必ずひずみは生じて、いつか破綻するのは避けられないので、制度が育っていくことを願っています。 

“お金があるからやれたんでしょ”という声に対する想い

ーーお話を聞くと、利用する側も、現在の介護保険制度ではカバーできない部分が生じているように感じられます。渡辺さんも介護保険の枠から外れるものに関しては、自費でまかなっていたのでしょうか。

渡辺 介護保険で補えない部分は自費でした。ケアマネージャーさんが組み立てた最適なプランの中で、介護保険が適用される時間分は保険で、賄えない部分は自費でという分け方だったので、いつもと違うヘルパーさんを自費でお願いするという別立てではないのですけれど。