TBSのアナウンサーとして『モーニングEye』『筑紫哲也 NEWS23』などに出演してきた渡辺真理氏(55)。1998年にフリーランスとなって『ニュースステーション』を担当するなか、父・半三氏が脳内出血に。
20年以上にわたって、仕事をしながら父の介護にあたり、要介護となった母・美智子氏も支えてきた。
そんな彼女に、要介護の両親との同居を申し出た夫の決意、親を見送ったことで到来した想い、自身の老後などについて、話を聞いた。
「2人で4人の親を看るのはダメなの?」
ーーどういったきっかけで結婚まで進んだのでしょう。
渡辺真理(以下、渡辺) 喧嘩の挙げ句に結婚したようなものなんです。仕事して、親を看て、父の仕事も引き継ぎつつバタバタ動き回っているので、お互いの働き方や生活時間のままでは、断然すれ違ってしまうわけです。でも、相手のペースを乱すのはこわいものだから、短い時間でも会えるよう必死に時間調整するのだけど、それを悟られたくなくて平気な顔したりして。
その限界が、出会って3ヶ月くらいだったのじゃないかな。時間をかけてお互いを知って、ゆっくり関係を育んで、なんてふうにできれば素敵だけど、今の私には「無理!」と。相当、険のある顔つきだったでしょうね、自覚できなかったですけど。
当然、喧嘩になって、「で、わたしたちはどうしたいのか?」という、45歳と41歳の未婚同士にとっては未知の問いに向き合うことになったわけです。
お互いのこれからを考えた時、最も気になったのは、やっぱり親のことでした。私自身は、親に残された時間を近くで過ごしたいと勝手に思っているけれど、いざ結婚したら、相手も同じように私の親に対して思ってもらえるかは別問題で。
好きという想いも家族という輪の中では形を変えていくかもしれないし、時の経過だけでもうつろうもの。いつか、自分の親を彼が重荷に感じてしまったら、悲しく、やるせなくなってしまうだろう自分が不安でした。
そんな時に高井に「どうして、1人で2人の親を看ようと思うの? 2人で4人の親を看るのはダメなの?」と言われて。そんな選択肢、あるんだ、と。発想さえなかったから、一瞬、時が止まったようなショックを受けて。
ーーそれはなかなか言えない言葉ですね。
渡辺 うれしかったです、じわっと。何がどうなるかわからないけど、一緒にやっていってみようと思えました。