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出会った男が次々不審死…鳥取連続不審死事件“疑惑の死刑囚・上田美由紀の自伝計画”とゴーストライターが見た“執着”

出会った男が次々不審死…鳥取連続不審死事件“疑惑の死刑囚・上田美由紀の自伝計画”とゴーストライターが見た“執着”

2023/02/26

genre : ニュース, 社会

 同年10月6日には鳥取市覚寺の摩尼川で電化製品の代金約123万円を請求していた電器店経営の円山秀樹さん=同(57)、同市吉成=に睡眠導入剤を飲ませ、溺死させた。

 美由紀はほどなくこの2件の強盗殺人容疑で鳥取県警に逮捕された。このほか、06~09年にかけて除雪機や農機具、車などを詐取した6件の詐欺容疑と09年6月に民家へ侵入して現金35万円を盗んだ住居侵入、窃盗容疑も含まれていた。

周辺の男性が相次いで不審死。「モンスター」と呼ばれ…

 立件はされなかったが、美由紀の交際相手や知人が相次いで不審死したことが発覚し、週刊誌に「モンスター」呼ばわりされるに至った。

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 まず、04年5月に読売新聞鳥取支局記者=当時(42)=が列車にひかれて死亡、07年8月に警備員=当時(27)=が日本海で死亡、08年2月には鳥取県警の刑事=当時(41)=が首をつった状態で死亡した。男たちはいずれも美由紀と交際していたとされる。

 また、09年10月には金銭トラブルのあった近所の男性=当時(58)=が変死し、直前に美由紀が周辺に出入りしていたのを目撃されている。

 強盗殺人で立件された矢部さん、円山さんの事件も含め、決定的な証拠は見つからず、睡眠導入剤の所持や行動歴、目撃情報といった間接証拠から裁判は進んだ。そして、12年12月、一審鳥取地裁の裁判員裁判で彼女は死刑判決を受ける。

 一審はほぼ黙秘を貫いていたが、迫る二審に向けて美由紀は自らの証言で無罪を勝ち取ろうと法廷闘争での方針を変える決意をしたようだった。その一環で自叙伝の出版を思いついたのだろう。

しつけられた箸の持ち方に書写…「両親にはかわいがられて礼儀正しく育てられた」

 松江刑務所での面会時間は1日1人のみ(弁護士は除く)、30分に限られていた。都合をつけて松江に通い、その生い立ちから聞き出していった。

 美由紀は1973年に鳥取県倉吉市で生まれる。スイカの産地、大栄町(現北栄町)で両親と兄に愛されて育ったという。

「未熟児で生まれて、ぜんそくの持病があった。すごく優しい父母にかわいい娘だと言って育てられた。だから、あまり怒られた記憶がない。小学校の担任に竹刀でバッチンバッチンたたかれた時も、父は『女の子だから傷ついたらいかん』とかばってくれた。

 背の高さはクラスで中くらいぐらい。跳び箱が苦手で体育が嫌いだった。国語や社会、道徳が好き。取り柄と言えば書写。金賞や特賞も取った」

 確かに、後に渡された「欲しいものリスト」や自叙伝の前書きも達筆だった。「両親には箸も正しい持ち方をするように言われ、礼儀正しく育てられた」という。

実際に送られてきた「自叙伝の前書き」

 自然の中で育ち、川に泳ぎに行くこともあったという。昆虫や動物、は虫類にも興味があったが、「小学校6年になるまでオタマジャクシがカエルになることを知らなかった」と笑っていた。