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銃乱射事件の被害者遺族と加害者の両親が対話する…たどり着いた“想像もしていなかった境地”とは 「対峙」を採点!

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〈あらすじ〉

 アメリカの高校で生徒による銃乱射事件が起き、10人の生徒が殺害され、犯人の少年も自ら命を絶った。それから6年が経ったが、被害者遺族のジェイ(ジェイソン・アイザックス)とゲイル(マーサ・プリンプトン)は、いまだ息子の死を受け入れることができない。2人は、加害者の両親であるリチャード(リード・バーニー)とリンダ(アン・ダウド)と会い、対話するという行動に出る。

 小さな教会の静かな個室で、4人だけでテーブルを囲み、ぎこちない会話が進んでいく。怒り、悲しみ、後悔、困惑などの感情が溢れ出る中、息子へのそれぞれの思いを吐き出すと、2つの家族は想像もしていなかった境地に辿り着く。

〈解説〉

 銃乱射事件で共に息子を失った、被害者と加害者の家族による会話劇。俳優フラン・クランツの初めての脚本・監督作。111分。

  • 中野翠(コラムニスト)

    ★★★★☆全編、密な対話劇(しかも深刻な話)なのにダレることなく観られた。脚本の力。M・プリンプトンも今や中年の演技派に。

  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★★★☆もともと俳優の監督だけに、巧い役者に対する信頼が深い。傷口の癒えないトラウマの描き方も、煽情的になっていない。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★★★★会話したところで消耗するだけの凄絶な苦しみを密室で交わす事に驚く。それだけに想いが溶け合う光景には涙止まらず。

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★★☆白熱度は満点級。練られた言葉たちが玉ねぎ状の心の多層性を想像させる。極めて米国的なトークセッションとの印象も。

  • 洞口依子(女優)

    ★★★☆☆シンプルである事で観る者に集中力を持たせる。良く練られた脚本と優秀な俳優陣。カタルシスの粉砕。感情の刃が光る。

  • もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
  • 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
  • 料金の価値は、あり。★★★☆☆
  • 暇だったら……。★★☆☆☆
  • 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
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INFORMATION

『対峙』(米)
TOHOシネマズ シャンテほか全国公開中
https://transformer.co.jp/m/taiji/

銃乱射事件の被害者遺族と加害者の両親が対話する…たどり着いた“想像もしていなかった境地”とは 「対峙」を採点!

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