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遠野 いいえ、それが全く。私と弟、上の妹は父親が同じですが、虐待されていたのは私だけでした。

 母の「女優になる」という夢を託されたのも、私ではなく弟と妹だけで、私は母が2人を連れて児童劇団の習い事に通うのに付き添うだけだったんです。

母親に外見を否定され続け、15歳で摂食障害に

――では、遠野さんはなぜ子役に?

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遠野 劇団のスタッフさんが「お姉ちゃんも、子役やってみない?」と声を掛けてくれたことがきっかけでした。

 母はいつも私の外見を「醜い」と否定し続けていたので、スタッフさんに対して「は? この子が、ですか」と聞き返していて、「どうしてこんなに醜い子を?」と思っている様子ではありました。それなのに、「そうですか、じゃあこの子もついでに」と承諾してしまって。それが子役としてのキャリアのスタートになったんですけど。

――お母様とはずっと、どういった関係性だったのですか。

遠野 母は私に対して、娘というより「女」として対抗意識を燃やしているような部分もあったと思います。だからなのか、私が弱れば弱るほど喜ぶ、みたいな感じでした。例えば、私が自分を否定したり、自虐的なことを言うと喜ぶんですよ。演技がうまくいかなかったとか、自分の体型のことを言ったりすると。

 だから私は、いつまでも自信を持てないままここまで来てしまいました。でもそんな母であっても、誰よりも、一番に私を認めてほしかったんです。だって仕事もきょうだいの世話も全部、母のためにやっていたようなものでしたから。

 

――遠野さんは、摂食障害と闘っていることも公表されていますよね。お母様から容姿をことごとく否定されてきたことが影響しているのでしょうか?

遠野 15歳の頃、体型が変化しやすくなって「子役の仕事が来なくなるのでは」と悩んでいた私に、母親は「吐けばいいのよ。吐いちゃえば、太らないんだよ。やってごらんなさい」と言いました。そこから、摂食障害に苦しむようになったんです。

――ちなみにお母様も普段、食べたものを吐いたり?

遠野 はい、母も過食嘔吐を伴う摂食障害でした。だから、スリムな体型をずっと維持していましたよ。摂食障害って、完治はしない病気だと言われているんです。彼女は自分もその病気の苦しみを知っていながら、子供の私にそれを教えたんです。