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「虐待された過去があっても、親と縁を切ると悪者にされる」“20代で母親と絶縁”した遠野なぎこ(43)が世間の風潮に思うこと

遠野なぎこさんインタビュー #3

2023/03/06
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遠野 不幸自慢をしているみたいで嫌で。あとは大切な友達だからこそ、相手の重荷になりたくないんです。だからあまり言えない。あくまで私は、ですけど。

「子供を愛さない親がいる」ことへの理解が進んでいない

――私自身も経験がありますが、苦しい時ほど人って平気なふりをしてしまいがちですよね。やっぱり大事な人たちを失いたくないし、負担になりたくない。

遠野 親と絶縁することって、世間的な理解がまだ全然ないじゃないですか。こういう話をすると「子供を愛さない親はいないはず」と絶対言われるんですけど、いるんですよこれが。

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 そういう家族のもとに生まれた身からすれば、もうわかってもらおうとも思わないです、そんなことを言われると。

――「家族とはこうあるべき」という価値観を押し付けられることで、「何かあなたたちに問題があるからそうなるんだ」と世の中から排斥されてしまうような心境になるのでしょうか。

遠野 そうそう。だから追い詰められてしまって、ますます誰にも言えなくなってしまうんですよね。世の中にどれほどそういう人がいるのかを考えると、胸が苦しい。

 絶縁することについても「親を捨てるのか」とか「育ててもらったことへの感謝はないのか」とか言われるんです。どれだけ虐待されていた過去があったって、親と絶縁するとなると、こちらが悪者にされてしまう風潮が強いように感じます。

 

理解のない言葉を真に受けて傷付く必要はない

――そうした風潮のなかで、絶縁するわけにもいかずに親との関係性に苦しんでいる人は、かなり多いと思うんです。そういう人に向けて、思うことや伝えたいことなどありますか?

遠野 理解を示してくれない人の言葉には、耳を傾けないほうがいいと思います。何も聞かなくていい。だって、外野からそういう風に言ってくる人たちは、何も考えずに言っているだけなんですから。

 そういう言葉に振り回されたり、自分を責めたりする必要は一切ないと思います。真に受けて傷つく必要なんてない。

――理解のない言葉を真に受けて、まともに正面からダメージを食らってしまうと、身がもたないということでしょうか。