遠野 そう。だって、そういう言葉を投げかけてくる人たちは、こっちが傷ついたことにさえ気付いてないんだから。そんなもののために涙なんか流さなくていい。忘れてしまっていい。
――過去には、「スピード離婚」などと世間からおもしろおかしく見られることもあったかと思います。
遠野 実は別れたことにもちゃんと理由はあって。でも本当のことなんて言えませんもの。バラエティでいじられたって、そんな重い話はできませんし、相手は一般人だったので、そんな話は絶対にしちゃいけないから。
多くの人が救われるように、家族の問題を発信する理由
――ご自身と同じような悩みを抱える方々のために発信をしたり、相談に応じたりする活動もしていますよね。
遠野 そうですね。今日取材を受けさせていただくことになったのも、同じような境遇の方が少しでも楽になれたら、というところで。
――遠野さんは人の痛みがわかりすぎてしまう分、しんどくなってしまいませんか。
遠野 いやいや、自分の痛みより人の痛みのほうが気になっちゃうだけなんです。自分の痛みはわりと平気です、強いから耐えられるし。でも、「誰かを傷付けてしまったかも」と思うと、それが一番怖い。つらいし、胸が抉られるような気持ちになるし、引きずるし。
――だからこそ、著書を書かれた理由もそうだと思いますけれど、ひとりでも多くの人が救われるように、家族の問題を広めたいということですよね。
遠野 そうですね。多分、ほとんどの方ってそういう親子関係があることも、親から受ける呪いみたいなことも、知らなかったりピンとこなかったりするでしょうし。
去年の5月に母が自死して、そのことをどこにも話していなかったんですけど、私、嘘をつくのは嫌だったんですよ。今後、こうした話をすることがあったとして、母のことを話さないわけにはいかないから。だから、今回の取材を受けようと思ったんです。
――あとで何かでバレたりすっぱ抜かれたりしたときに「嘘を付いていた」「隠し事をしていた」なんて言われたり、あることないこと好き放題書かれたりするのも嫌ですものね。