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何度か「池永さんも来ますか」と誘われたが…

 通いだした当初はまだ級位者だったが、10秒将棋なら奨励会三段勢や棋士を倒すこともよくあった。そして私もその頃から将棋をよく指すようになった。

 当時の服部五段の私生活の話はおもしろく、高校の友達と漫才のコンビを組んだことや、毎日早朝に10km走る習慣を始めたと聞いたときはかなり驚いた記憶がある。10kmランのほうは何度か「池永さんも来ますか」と誘われたが、「絶対行かない」と断固拒否した。

 私が16期目の三段リーグを戦うとき、服部五段が初めて参加することになった。直接の対戦は組まれなかったので相変わらず将棋をよく指した。三段リーグの結果は二人とも14勝4敗。しかし、私は四段に昇段したものの、服部五段は1期目だったために順位が悪く次点(3位)だった。

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 三段リーグ最終日の翌日、関西将棋会館にて何人かにお祝いの言葉をかけていただいた。ただ、よく覚えているのは服部五段と普段と変わらず棋士室で将棋を指したことだ。

©文藝春秋

元の形に近づいているという雰囲気があった

 ここまでの話はほぼ全て2020年以前のもの。新型コロナウイルスの流行にともない研究会はほぼすべてネットに移行し、棋士室は閑散としている日が多くなった。今でも研究会は基本的に広々とした階下の道場で行う。だが、時間がたつにつれて少しずつではあるが、以前の日常を取り戻しつつある。

 先日、A級順位戦ラス前の新聞解説で夜までいる機会があり、遅くまで残る棋士、奨励会員が何人かいた。ラス前なら机の上に将棋盤がたくさん並んで東京の対局も検討するというのが当たり前だったので、まだそこまでの状態にはなっていないものの、元の形に近づいているという雰囲気があった。

 さて、現在の関西将棋会館を使用する時間も残り少なくなってきた。棋士室にまたこれまでのような満員御礼の札が出る日々が戻ってくることを切に願うばかりである。

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