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感情をコントロールし、態度に表さない

 僕が現役選手だったころ、コーチと話をしているときに腕組みをされると、話を聞く気がなくなってしまった。言葉は悪いが「こいつ、本当のこと言ってんのかな?」と疑心暗鬼にさせられた。

 そんな気持ちでする会話が、うまくいくはずがない。むしろ、少しでも気に障る言葉が出たら、喧嘩に発展してしまう可能性もある。コーチが選手と話をするときは、腕組みをしてはいけない。

 コーチと選手の勢力図に関係してくるが、僕は選手よりコーチのほうが「下」だと思ってやっている。だが、一般常識で考えると、社会的勢力はコーチが上で選手が下だ。そのうえ偉そうな態度をとれば、社会的勢力の差はさらに広がっていく。そうなると、選手はコーチに近寄ってこない。そういう状態に陥らせないためにも、普段から威圧的な態度は取らないように心がけることが重要だ。

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©文藝春秋

主体はコーチではなく選手である

 腕組みだけではない。試合中に威圧的な表情を見せたり、選手が失敗したときに落胆や怒りの表情を見せる監督やコーチがいる。

 コーチは、決してネガティブな態度を表に出してはいけない。選手は、コーチのそういうところを見ている。

 そしてそれが、選手に余計なプレッシャーを与えていることを知るべきだ。

 指導する立場の人は、自分の感情をコントロールし、できるだけ表情を変えないようにしてほしい。むしろ、それができないコーチは、指導者の資格はない。

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 選手に対する口調も、どんな場面でも強い口調は避けてほしい。選手が成長するためにコーチが真剣になってくれているとわかっていても、伝え方が受け入れられないと、コーチの言葉を理解しようとしなくなる。

 コーチが一方的に悪いとは言わない。受け入れる選手の側にも問題があることはわかっている。しかし、時代が変わったことを受け入れ、主体はコーチではなく選手であることをもっと意識してコミュニケーションを図るべきだ。

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