それが実証されているかどうかはともかく、リラックスして眠る行為がコンディションを整えるのは間違いない。ビジネスの世界でも睡眠の質が取り沙汰されているのは、要するに誰もが睡眠不足なのだ。
昔は二日酔いで試合に出ても通用した
休養を取ってリカバリーすることは、アスリートもビジネスパーソンも変わらない。人間にとって欠かせない営みである。コンディションを安定させるのは、すべてにおける基本である。いくら優れたスキルを持っていても、コンディションが悪ければ発揮できない。酒は飲んでもいいが、深酒はダメだ。
ストレスの発散という意味では悪くはないが、物には限度がある。
昔のプロ野球選手は深酒して朝まで飲み、酒臭い息を吐きながら球場に来て試合をしたという。
それが豪傑物語のように語られている。これを言うと大先輩たちに怒られるが、僕を含めて昔のプロ野球選手の技術レベルが低かったから、そういうことが通用しただけだ。もちろん、ずば抜けた能力を持つスーパースターは別格だ。しかし、それ以外の選手のレベルが低かった。スーパースターが二日酔いのまま試合に出ても通用したのは、そういう状態でプレーしても勝てたからだ。
選手のレベルが上がった要因
時代は変わった。今は飛び抜けたスーパースターはほとんどいないが、すべての選手のレベルが昔に比べて格段に上がっている。コンディションを整えて最高のパフォーマンスを発揮しないと、通用しなくなっている。考えてみると、豪傑なエピソードが出てくるのは、超有名なスーパースターばかりである。
レベルが上がった要因は、一つには情報が集めやすくなり、練習方法やコンディショニングの知識が成熟してきたからだ。技術の向上はもちろん、選手の体格も変わってきている。それに加え、野球人口が減ってきているので、幼少期から教育の専門化が始まっている点が考えられる。それらの要因によって平均的に上がったレベルを超える優れたパフォーマンスを発揮しなければ、プロ野球選手として生き残っていけない。
結果として、昔に比べてコンディションをおろそかにすることができなくなっている。
コンディションづくりを真剣に考えられない選手は淘汰される。コーチとしての役割は、つい忘れがちな日々のコンディショニングを選手たちに植えつけることだ。