移住に対する職場での様々な反応
――パートナーも同じように移住を考えていたのでしょうか。
柳生 いえ、僕から移住を提案して「いいよ」という感じでした。子どもにも「引っ越そうと思うんだけど」と伝えて。当時、長女が小学2年生、長男が6歳で年長だったので、僕から移住の話をされても現実的に考えられなかったかもしれないですけど。でも、子どもたちも「引っ越ししたい」と言い出したので、悪い反応はなかったですね。
長女は学校で人間関係に悩んでいるところもあったし、そこもふくめて一新できるならと、家族全員で前向きに移住を捉えていました。
――退職する際、上司や同僚の方などはどのような反応を。
柳生 教師を辞めたことと移住は、あまり関係がなくて。移住するしないの前に、自分でビジネスを起こしてお金を稼ぐ経験をしてみたかったんです。なので、「移住するから辞めたい」ではなく、ビジネスをしたくて辞めたい旨を伝えたんです。
管理職の方々に直で呼ばれて、「辞めないでほしい」とも言われましたし、「教員をずっとやってきて、社会に出てこれから何ができるのか」と厳しいお言葉もいただきましたけど、「自分の人生なので自分で決めます」と退職して。管理職の方々の反応に関しては「頑張れ」よりも「無謀だな」という雰囲気でしたね。
家族のいる同僚の先生は「リスクを取りすぎじゃない?」との反応でしたけど、子育てを終えた先生には「いいね、そういう人生。私も若いときにやればよかった」と言われました。「いいね」とおっしゃったその先生も「いまの教育現場はやりづらい」と昨年退職されて、いまは日本全国を旅して回ってます。そういった面でも、教育の現場から人が離れつつあるんだという実感を得ました。
田舎在住のYouTube動画をいろいろ見て
――「自分でビジネスを始めたい」と「移住したい」が重なったタイミングでもあったと。
柳生 そうですね。田舎の古民家で暮らすことに憧れていて、空き家を改修する田舎在住のYouTuberさんの動画をいろいろと見ていたんです。見ているうちに、自分でもこれならできるんじゃないかと。田舎での古民家を改修する動画を配信して登録者数を伸ばしながら、地域の人と協力して商品開発などができたらいいなって。
――「田舎への移住は難しい」といった声も少なくないゆえに、不安はありましたか。
柳生 厳しい現実を見聞きしていたんですけど、教員をやっていたので、コミュニケーション能力や礼儀正しさに自信があったんです。それもあって「できるな」と高をくくっていた部分はあります。