収入は減ったけれど、収支は東京よりもプラス
――東京と四国の集落を比べると支出はどちらのほうが低かったですか。
柳生 家計の支出でいったら、四国のほうが低かったですね。世帯収入でいったら、四国は東京の3分の1くらいになりました。妻も教員だった頃があって、その頃と比べたら給与の額面は10万円くらい違いましたね。
お金に関しても下調べをしていて収入が下がるのは予想していましたが、住居費が掛からなかったので。あと、地域の方々からお野菜を分けていただいたり、シカとかイノシシのお肉を分けていただいたりするので、そういったところで下がった10万円分をカバーできていましたね。
実際、収支は東京よりもプラスでした。我が家の場合は、月10万円くらい貯金できましたから。
――収支的にプラスでも、この部分だけは東京よりもお金が掛かったというものは何かありましたか。
柳生 車ですね。もともと車を持っていなかったので、中古のパジェロミニを15万円で買って。雪の降る地域だったので、四駆が必須条件だったんです。そのほかにも自動車税や任意保険が掛かりますね。ガソリン代は月に安くて8000円、高くて1万5000円。でも、車がないと、どうにもならないんで。
水道は一律使い放題の1000円で、電気代も東京と変わらなかったけど、ガス代は高かったです。都市ガスじゃなく、プロパンになるので。
医療費はうちは3番目の子の出産費用だけ掛かりましたけど、それも安かったです。妊娠中の妻のお腹の調子を見る検査が東京だと1万円近く掛かったけど、移住先では無料。教育費も無料でしたね。
保育園、小学校…田舎暮らしの教育事情
――教育の内容はいかがでしたか?
柳生 保育園はすごくよかったですね。うちの息子が入るまで、3人の保育士さんが1人の子どもを見てくれるのでかなり手厚いですし、地域の雇用も生み出していますから。ただ、子どもが少ないゆえにパパ友、ママ友のような親同士のつながりが生まれないのがデメリットではあるのかなと。
あと、保育園以外の子育て支援は特になくて。学童クラブもないし、保育園も3歳からなので、3番目の子が生まれても預けられなかったんです。
やっぱり、おじいちゃん、おばあちゃん、家族内で子どもの面倒を見る文化だったんですね。なので、うちのような核家族はそのへんが厳しくなって、働いている親の負担が増えました。
――小学校はどうでしたか。
柳生 小学校は、1年生と2年生を1クラスといった具合に2学年を1クラスにまとめる複式学級だったんです。うちの娘は小2で転入だったんですけど、他に生徒がいなかったので複式学級にならず、マンツーマンの授業になったんです。
マンツーマンで漢字や四則計算を丁寧に教えてもらえるので学力は上がるんですよ。東京にいた頃は勉強が苦手だったし、良くも悪くもクラスで目立った言動をとることもなかったので、置いてかれちゃうタイプだったんです。それが移住先の学校では1対1ですから、先生が「この子はここができてない」とみっちり取り組んでくれるので、テストの点数も50点、60点だったのが100点を取れるようになって。
僕ら夫婦は学力向上に重きを置いていなかったですけど、自然に学力がついてきた感じです。