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補選が行われた原因は、現職県議が無免許運転で道交法違反の有罪が確定したから。直後には解職請求の是非を問う住民投票に持ち込まれ、県政史上初のリコール成立となった。安佐北区は反河井の重鎮県議の地盤であり、子飼いの県議がほしかった克行は、これを好機ととらえた。
案里は知事選敗北後のひきこもり中、「自民党代議士の妻」でありながら橋下徹主宰の維新政治塾に参加し、自民党県連を震撼させたことがある。その頃、大阪で子育てしていた渡辺と出会った。
案里氏の口説き文句は…
渡辺は大阪維新ブームをきっかけに政治に興味を持ち、旧知の大物弁護士から紹介された本物の政治家が広島の案里だったというわけだ。渡辺は初対面の案里が芸能事務所の女社長のように見え、妙に親近感を覚えたという。以来、帰省するたび、広島駅前の高級ホテルでふたりでお茶する仲になった。
そして2013年夏頃、案里から突然言われた。
「ねえ、ノリちゃん。今から広島に来ていただけないかしら。電話で話せるようなことじゃないの」
案里は、モデルの渡辺を新興住宅地で行われる出直し選挙に相応しい「子育てママ」に仕立て上げた。
渡辺氏の「素顔」
ただし、渡辺の素顔は少し違う。地元経済界で、久保允誉の名を知らない人はいない。家電量販業界で国内第3位の「エディオン」を広島から育て上げた立志伝中の人である。広島青年会議所の理事長(1990年度)も務め、岸田文雄をはじめ政界にも昔からの仲間が多い。そしてJリーグ「サンフレッチェ広島」のオーナーを長く続けている。旧姓久保の渡辺は、その御令嬢なのだ。