そんなAさんの声が拡がり始めた。3月8日、衆議院予算委員会で塩村あやか議員が質疑でこの事件を取り上げたのだ。塩村議員は、遺体へのわいせつ行為が死体損壊罪ではなく、葬儀場への建造物侵入罪にしか問えないことについて「また同じことが発生して、また建造物侵入罪で裁いていくのかという問題が残ってくる。あまりにも問題が大きいのではないか」と、法務大臣に迅速な対応を求めた。
加えて経済産業大臣に対しても「法整備がなされるまで、遺体の安置室に複数の目が行き届くようにするなど業界に対して何かしら対応をお願いして欲しい」と求め、経産大臣は「改めてガイドラインの趣旨が徹底されるように業界団体に対して注意喚起を行い、葬儀業界全体の取り組みとして促していきたい」と述べている。
「警察は遺族に知らせない方が良かったんじゃないか?」
Yahoo!ニュースコメントには「警察はこのことを遺族に知らせない方が良かったんじゃないか?」といった書き込みがある。Aさんは言う。
「確かに当時は、どうしてそんなこと教えたの? 指を入れたことまで言う必要あった? と思っていましたが、いまは知ってよかったと思っています。大事なかわいい娘に起こったことを知らないままでいたくはなかった」
Aさんにお詫びの連絡は一切ない
篠塚元被告は公判で、遺体の安置場に侵入した理由について「遺体撮影のためもあるし、仕事の一環で入ったとき、触りたくなったときもある。遺体が運ばれてきた際に見たり、冷蔵室に入ってきたとき、衝動的に抑えられなくなった」などと説明していた。2月3日、懲役2年6月執行猶予4年の判決が言い渡されたが(求刑・懲役2年6月)、被告・検察の双方は控訴を申し立てることなく、同月下旬に執行猶予判決が確定している。篠塚元被告からはAさんに対してお詫びの連絡は一切ない。
公判では「扶養すべき妻子がおり、妻が今後の指導監督を約束している」などとして、執行猶予判決が言い渡された。犯行の様子が記録されているスマートフォンは没収されているが、篠塚元被告は「子供の写真が入っている」などと述べ、返却を求めている。傍聴席に座るAさんに目を向けることも、頭を下げることもなかった。
「話がここまで大きくなるとは思ってなかった」と法廷で繰り返していた篠塚元被告は執行猶予判決が言い渡されたのち、居住地だった都内の自宅から転居している。自身の行為が国会でも取り沙汰されるとは思っていなかったことだろう。