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『はなちゃんのみそ汁』 家族は乳がん闘病中の千恵さんとどう向き合ってきたのか

著者・安武信吾さんインタビュー #3

2018/02/27
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「食べることは生きること」を一人でも多くの人に感じてほしい

──一人でも多くの人の励みや元気になれたら、という思いで全国どこへでも講演にも出かけていますね。

安武 福島に講演に行った時は、子どもたちからたくさんの手紙と「はながみそ汁を持っている姿を描いた絵」をもらいました。こういう贈り物は僕も嬉しいし、娘も「はなちゃんみたいになりたい」と言われることが自信にもなり、嬉しいようです。

 昨年2月もはなと一緒に北海道剣淵町に行き、小さな小学校で5、6年生十数人に授業をしたのですが、届いたお礼状を読んだはなから、「パパの仕事はすごいと思った。また剣淵町に連れて行ってください」と言われて、嬉しかったです。「食べることは生きること」という命の授業を通じて、「生まれてきてよかった」と思える瞬間を、一人でも多くの人に感じて欲しいと願っています。

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福島市立御山小学校の子どもたちからの手紙と絵。職員の方がわざわざ福岡を訪れ、届けてくれた ©安武信吾

はなさんが15歳の誕生日プレゼントにほしいもの

──そういえば、はなさん、15歳のお誕生日でしたよね。プレゼントはやはり食に関係するものですか。

安武 いいえ、アイロンです(笑)。5歳のころから約10年間、同じアイロンを使い続けていて、そろそろ寿命だったんですよ。アイロンをかけながら、「誕生日のプレゼントは、新しいアイロンを買って」とつぶやいていました。

©安武信吾

──将来は、食だけにとどまらない、家事全般のプロフェッショナルですね。

安武 本当はダンサーになりたいみたいです(笑)。千恵はダンス下手だったんですが、はなはなぜか子どもの頃から、リズム感がめちゃくちゃいいんですよ。よく家でも踊っています。無事高校生になれたら、近所のダンス教室にダンスを習いに行って、料理教室にも通いたいと言ってました。「踊れる管理栄養士を目指せ」とみんなに言われています(笑)。

写真=末永裕樹/文藝春秋

『はなちゃんのみそ汁』 家族は乳がん闘病中の千恵さんとどう向き合ってきたのか

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