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「津波ではなく、火事で…」幼稚園バスで亡くなった西城春音ちゃんの姉・楓音さん(20)が忘れられない“あの日のこと”

「津波ではなく、火事で…」幼稚園バスで亡くなった西城春音ちゃんの姉・楓音さん(20)が忘れられない“あの日のこと”

3.11から12年、あの震災の語り部たち #3

2023/03/11

genre : ライフ, 社会, 歴史

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 しかし、バスは園児を乗せたまま動き出した。つまり、幼稚園教諭は園児たちと一緒に高台へ避難しなかった。しかも、津波が迫りくる中、運転手はバスを高台の幼稚園に向かわさせることなく、低地に放置。園児5人と添乗員をそのままにして、一人だけ高台の園に戻った。このとき、運転手と園長との間で、取り残された園児や添乗員について確認するやりやりは行われなかった。

当日の幼稚園バスの動きを示した遺族有志の会作成パンフレット

車内で焼けこげた春音ちゃんの遺体を発見

 春音ちゃんの母・江津子さんは園に向かった。いどころを聞くと、バスの運転手は「あっちのほう」と言い、津波浸水エリアの方向を指さした。ただ、実際には運転手がバスや園児、添乗員を放置した場所とは違っていた。そのため、江津子さんは春音ちゃんたちを見つけることができないでいた。

 当日の夜、「助けて!」と叫ぶ園児と思われる子どもの声が聞こえたという証言もある。門脇小学校では、津波火災が発生していた。

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 3月14日、父親の靖之さんと江津子さんは再び、園に向かっていた。「生きていると思っていた」と言う楓音さんは、車で一緒に探しに行った。火災が収まり、津波が引いて、バスを放置した付近を探せる状況になっていた。しかし、園側が捜索した形跡はない。「幼稚園」と書いてあるバスを見つけると、車内に焼けこげた春音ちゃんの遺体があった。重なるようにして大人の遺体も見つかったが、添乗員ということが18年になってわかった。

春音ちゃんが見つかった幼稚園バスの写真

夢に出てくる春音さんは成長しないまま

 死因の詳細は不明だが、バスが放置されていた場所には津波が来ていないこと、火災が発生していたことを考えると、火災による焼死の可能性が高い。

「遺体だけど、火事で焦げていたので、怖かったんです。夢にも出ました。階段のところに、まるこげの春ちゃんがいるんですが、何も話さないんです。この姿で夢に出てきたのはこのときだけでした。あとは、幼稚園服を着ている姿でした。一緒に滑り台で遊んでいる夢も見ましたが、あたりは真っ暗でした。春ちゃんが三輪車を漕いでいる姿を、私が後ろから見ている夢も見ました」(同前)

 夢に出てくる春音さんは、成長しないままだという。今でも、楓音さんの夢に、春音さんが現れる。