そして、彼らが自分を乙だと思っている理由は、大きく分けて3つ。「学縁」(同じ学校出身)「地縁」(故郷が同じ)、そして「親チャンス」だと答えました。個人的に、結果も結果ですが、関連質問に親チャンスという言葉が入っていることに、強い興味をいだきました。
「出世には親チャンスなどが必要」と答えたMZ世代が72%
学縁と地縁は、伝統的に韓国で「出世するためにもっとも必要なもの」ベスト3に選ばれてきました。出世した人と同じ学校、同じ地域出身だと、それだけでもなんとかなるという意味です。ただ、いままでなら、3つ目として「血縁」(出世した人と血縁関係にある)が入るものですが、ほぼ同じ意味ではあるものの、「親チャンス」という言葉が、ここまで有名になったわけです。私の世代(1970年代生まれ)にしては、大人になるまで聞いたこともない言葉ですが。
「中央日報」の記事によると、「自分が甲なのか乙なのかが分かれる理由」として、学縁・地縁・親チャンスだという回答はどんどん増えている、とのことです。「学縁や地縁、親チャンスが無いと、甲になれない」という質問に同意した返答が、4点満点で2.84点。2018年には2.76点でした。
この調査は10~60代までの韓国民4501人を対象にしたものですが、範囲を1980年~2010年あたりに生まれた、いわゆるMZ世代(ミレニアル世代と「Z世代」を合わせたもの)に限ると、2.89点。100%に換算すると72%のMZ世代が、「出世には、親チャンスなど(出世した人たちが持っていたチャンス)が必要だ」と答えたわけです。
本書の出生率関連部分に、「完璧な親シンドローム」や「カンガルー族」関連の内容もありますので、それらも参考にしてください。
「人生に意味を与えるもの」が唯一、物質的豊かさ!
人それぞれ事情が違うでしょうけど、ハッキリ書きますと、ここまでくるともう依存症です。「ある」からそのおかげでなんでもできると依存するのではなく、「無い」からそのせいでなにもできないと、言い訳として依存しているわけです。韓国社会は、「私たちは優秀な民族」とする民族主義教育を施す際、「日本(併合時代)のせいで発展が遅れた」という噓の言い訳に依存しています。とても似ていると思うのは、私だけでしょうか。