ネットマーケティング会社ARINAの調査によれば、親が選ぶ子どもに就いてほしくない職業の圧倒的1位はYouTuberだった。そこで今回は実際に我が子がYouTuberになった親に、その胸の内を聞いてみた。

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「最初はゲーム配信時の絶叫がうるさいと思ったけど…」

 子どもには安定的な生活をしてほしいと親ならば誰しも思うもの。しかし、いつの時代も親の心子知らず。安定とはほど遠いYouTuberが、小中学生のなりたい職業ランキング上位に躍り出る世の中なのである。

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 それと呼応して、親が選ぶ子どもに就いてほしくない職業の1位にYouTuberがランキングしているが、実際子どもがYouTuberになった親の心境はいかなるものだろう。「まさかうちの子が……」と絶望しているのか、はたまた新たな生き方に納得しているのか。

 久保麻里子さん(40代・仮名)は「如月ラス」というチャンネル名で活動している19歳の男性の母親だ。如月氏のYouTubeは登録者数2360人(2023年3月14日時点、以下同)で、ゲーム配信や企画動画などを投稿中である。息子がYouTubeを始めたきっかけを母はこう語る。

「ラス〔Lasu〕」より

「コロナで緊急事態宣言などもあり、当時高校生だった息子は家にいざるを得ない状況になっていました。そうしているうちに『YouTubeに動画を投稿したい』と言われたんです。何かを始めるときには必ず相談というか、報告してくれるので、その流れで今回も話してくれたんだと思います」

 当時、YouTubeの存在自体を知らなかったという麻里子さんは、息子の申し出にすぐには返事をしなかったという。

「知らない道に進んで欲しくないという気持ちはありました。でも、そういう親の考えが正しいのか否かも、正直わからなかったし、自信も持てなかったです。また、本人の熱意もすごかったので、コロナでなにもできないのもかわいそうだし、いいかと。

 そもそも『大学も行きたければ行ってもいい』という感じで、うちは本人の意思に任せることが多いんです。家族と同居しているので、最初はゲーム配信時の絶叫がうるさいと思ったことはありましたが、今は落ち着いたようでそんなに気にはなりませんね」

 息子の申し出をきっかけに自身もYouTubeを見るようになったという麻里子さんは、今では息子を静かに見守っている。