情報解禁の時点で大きく話題となった、山田邦子M-1審査員就任。本番当日のSNSでは彼女の採点がつぶさに“審査”され、賛否両論を生んでいた。山田邦子を知らない世代がマスになる中で、敢えてM-1審査員を引き受けたその心はどこにあったのだろう。カベポスター84点の真意、ヨネダ2000への眼差し……M-1という巨大な賞レースを通して見る、“天下を獲った唯一の女芸人”の演芸観。

山田邦子

出場者でもないのに、周囲から「おめでとう」と言われる

——M-1審査員のお話が来た時、どんなことを思いましたか?

山田 演芸場に立たせてもらうようになったり、新しくYouTube始めたり……いろいろやってみるものだなと思いました。それで呼んでもらえたんじゃないですか。M-1もずっと見てたけど、全然呼ばれないから、見るものだと思っていたんです。「あ、出るんだ」と思って。でも、その分うれしかった。「ああ、スタジオで見れるんだ!」と思って。

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——審査員としてレクチャーみたいなものは受けるんですか?

山田 そんなのないない。当日審査員で集まった時(ダウンタウン)松ちゃんも「普通でいいんだよな。自分のほんとに思ったことでな。ストレートでな」って何回も自分に言い聞かせるようにみんなに言ってたから。

 それを聞いて中川家(礼二)も「うんうん」って頷いて。それだけなんですよ。別に「お前がこうつけたらこうする」とか「何点から行こう」もなく、本当にガチだったんですよね。だから「本当なんだ、これ」って思った。

 テレビで見てた時は「ちょっと吉本寄りか?」とかいろいろ思ったりすることもあったんだけど「違うんだ。人力舎もいいんだ」とか、「タイタンでもいいんだ」とか。「太田プロ、弱ぇな」とか(笑)。

 当日は最大級のライブ会場にいる感じでしたよね。やっぱり1000万円がかかってるって、こっちまでワクワクしましたし。

 

——テレビで見ていた時と、実際にスタジオで審査員をやった時、一番ギャップを感じたのはどんなところでしたか。

山田 そうですねぇ。審査員が発表になった生放送1週間前から、それこそSNSとかいろんなところで、友達やファンの人が「おめでとう」って言ってくれたんですよ。「私が優勝したわけでもないのに、審査員になると“おめでとう”なんだ」って、それはちょっと驚きました。私を知らない世代が私のことを「何も知らない素人が選ばれてる」って言ってたのは面白かったですよ(笑)。