などといくつか挙げられないこともないが、基本的には新鳥栖駅の周りはひたすらのどかな田園地帯が広がっているばかり。駅の周りを歩く限りでは、新鳥栖駅という駅が設けられた理由は、いまひとつ伝わってこないのである。
となれば向かうべきは“新”を取った方の駅だ
となれば、向かうべきは“新”を取った鳥栖駅だ。
他の新幹線駅でもよく見られるように、“新○○”という駅名は、もともとの在来線のターミナルと少し離れた場所に設けられた新駅に与えられる。
だから、その町の本質は新幹線ではなく在来線の駅のほうに求めるのが正しい振る舞いなのだ。そこで新鳥栖駅から長崎本線に乗り継いでひとつお隣、鳥栖駅を訪れた。
博多からは30分弱の距離…「鳥栖」には何がある?
鳥栖駅は、長崎本線と鹿児島本線が分岐する、交通の要衝だ。博多駅から在来線の鹿児島本線を使う場合は、区間快速で30分弱。新幹線の10分と比べればだいぶ時間がかかるようにも思えるが、充分に博多、福岡市街への通勤通学圏内の駅といっていいだろう。
そんな鳥栖駅のホームに降りたって、まず目に付くのは駅のすぐ脇にある巨大なスタジアム。「駅前不動産スタジアム」というらしい。ご存知、Jリーグ・サガン鳥栖のホームグラウンドだ。
駅の出入り口は西側にしかないが、そこから跨線橋を渡ればスタジアムまでものの5分。まさしくアクセスは絶好、最高の環境にサガン鳥栖のスタジアムがある。鳥栖という町の、まさにシンボルなのである。
ホームに漂うウマそうな香り。これは…
かくのごとく、駅のすぐ脇にどでかいスタジアムがそびえ立つ在来線の鳥栖駅。さっそく駅前を歩いてみようと思ったが、まだまだ気になるものがある。ものというか、匂いだ。
ホームに漂う実にウマそうなお出汁の香り。誘われるように香りのもとに近づいていくと、そこにはホームの立ち食いうどん店。
中央軒という由緒あるうどん店で、ホームだけでなく改札口の脇にもあるし、実は新鳥栖駅の在来線ホームにも店を出している。シューマイとかしわめし、そしてかしわうどんが名物だ。
サガン鳥栖の試合日にはスタジアムでも売るらしい。なんでも、サガン鳥栖に在籍していたフェルナンド・トーレスも食べたことがあるとかないとか。
中央軒うどんのちょっとした“伝説”
そしてこの中央軒のうどんには、ちょっとした“伝説”がある。鳥栖駅のホームは1・2番のりばと3・4番のりば、5・6番のりばという3つのホームがある。そのすべてにうどん店があるのだが、5・6番のりばのうどんがいちばんウマいのだという。