博多駅から九州新幹線に乗って、ふたつめの駅が久留米である。
九州新幹線はおおよそまっすぐ南に向かって走るのだが、新鳥栖駅前後の区間でほんのちょっとだけ佐賀県を横切る。鳥栖は佐賀県でいちばん東の町だから、横切るというよりかすめるというほうが正しいかもしれない。そして新幹線は筑後川を渡ってまた福岡県に戻り、久留米駅に着く。
新鳥栖駅と久留米駅の間は、実際の走行距離にしてたったの5.7km。在来線の鳥栖~久留米間も8.1kmで、間には肥前旭駅という小駅がひとつあるだけだ。自治体としても鳥栖と久留米は境界が接している隣町である。
ただ、新鳥栖駅の場合はいったいどうしてここに駅があるのか?と疑問に思う向きもあろうが、久留米駅の場合はまったく違う。
“福岡ナンバー3”の町「久留米」には何がある?
久留米の町の人口は、おおよそ30万人。これは福岡県内において福岡市・北九州市に次ぐナンバー3だ。意外に広い福岡県の中で、筑後地方最大の都市が久留米なのである。古くは筑後国の国府も置かれ、江戸時代には久留米藩21万石の城下町。もちろん筑後では最大の城下町だった。
そうした町だから、いくら駅間距離が短くても久留米に新幹線が停まらぬわけにはいかない。新鳥栖~久留米間は5分もかからず、博多から久留米も新幹線なら20分弱の場所である。
筑後川を渡ったばかりのところにある久留米駅は、高架の新幹線と地上を走る在来線が東西に仲良く並ぶ駅だ。
現在の鹿児島本線が九州鉄道によって1889年に最初に開業した時点では、筑後川を渡ることができなかった。
筑後川の北岸に千歳川仮停車場というとりあえずの駅を設けてひとまず開業。翌1890年に筑後川架橋を果たして久留米駅まで開業した。
さらに翌年の1891年には南へ延伸したので、ほんの1年ばかりの間は久留米駅が終着駅だったということになる。
1928年には久大本線が開業してその分岐駅となり、新幹線がやってきたのは2011年。現在の駅舎は、その前年から使われている。
橋上のコンコースに出て歩いて行くと何やら聞いたことのあるBGMが…
新幹線と在来線の改札口が並んだ橋上のコンコースに出ると、商業施設がいくつか入った小さな駅ビルにも通じる自由通路が東西に伸びる。