宮崎は、天孫降臨の地だという。『日本書紀』『古事記』には、瓊瓊杵尊が高天原から高千穂峰に降臨したという逸話がある。ほかにもいくつもの伝説が残っているが、たとえば神武東征の出立の地もいまでいう宮崎県、日向であった。宮崎県は、日本という国の成り立ちにおいて大きな役割を果たした地であったというわけだ。
まあ、こうした伝説をそのまま真実と鵜呑みにするのはいかがなものかとは思う。が、古代よりその名が知られている地域であったということだけは間違いないだろう。
ところが、である。そんな伝説の時代から遥か下ったいまの宮崎である。
地元の方々には大変申し訳ないですが、なんだかとっても存在感が薄い。あれこれと深掘りしていけばいろいろ興味深いものが出てくるのはわかっている。わかっていますが、桜島を擁する鹿児島や別府温泉の大分、くまモンでおなじみの熊本など、周囲の県と比べると、いまひとつ人口に膾炙しているシンボルに欠けるような気がするのだ。記憶に新しいところで宮崎が全国的に話題になったのは、どげんかせんといかんとか言っていた、あの頃のことだろうか。
関東に住んでいる身からその理由をあれこれ考えれば、やはりひとつに“遠さ”があるだろうか。いまのご時世、飛行機を使えば熊本とも鹿児島とも大差ない。が、鉄道を使ってとなると話はまったく違ってくる。西九州新幹線が開通したいまとなっては、九州で新幹線が通っていないのは大分県と宮崎県だけになった。
それでも大分は博多駅から特急に乗れば2時間ほどでまずまず近い。ところが、宮崎は新幹線でいったん鹿児島を経由しても3時間半以上。東京から鉄道で宮崎まで、などはもはや考えるべくもない。宮崎の県都・宮崎駅は、かくも“遠い”ターミナルなのである。
そんな宮崎駅に、はるばるやってきた。遠いだとか存在感が薄いだとか理由をつけてばかりもいられない。宮崎県都の玄関口は、いったいどんな駅なのだろうか。
“鉄道だとずいぶん遠い終着駅”「宮崎」には何がある?
宮崎駅に乗り入れている路線は、JR日豊本線だ。加えて日南線や宮崎空港線に直通する列車もやってくる。