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 そしてこのニシタチのところどころに名だたるアスリートの手形が並んでいる。青木功、松井秀喜、長嶋茂雄、高橋尚子、貴乃花……。

 宮崎はプロ野球のキャンプ地であり、ゴルフのツアーも開催される。だから宮崎と縁を感じているアスリートは少なくない。訪れた折に彼らが酒を飲むのもニシタチなのだろう。歓楽街のど真ん中とはちょっと不釣り合いな気もするが、ここに宮崎という町の真髄のひとつがあるといっていい。

 

「宮崎」はなぜこうも“絶妙な距離感”に施設が立ち並んでいるのか?

 歓楽街・ニシタチから橘通りに戻る。この大通り沿いには商業施設だけでなく、ビジネスホテルの類いもズラリ。駅前から少し距離はあるものの、歩いて歩けない距離ではない。それでいて、ニシタチもすぐ脇にあり、出張先で飲んでホテルに戻って寝るにはうってつけ。このあたりも、宮崎らしさなのだろうか。

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 橘通りをまっすぐ南に向かって歩いてゆくと、大淀川という大きな川にぶつかる。その少し手前には宮崎市役所。どげんかせんといかんの宮崎県庁は、大淀川から少し北側で橘通りと交差する県庁楠並木通り沿い。立派な庁舎が南に向けて(すなわち川に向けて)建っている。

 
 

 そのまま県庁前の並木道を東に歩くと、宮崎県警本部や裁判所、法務局などの行政施設が建ち並んでいる。老松通りと名付けられた大通りとぶつかってそこを左に折れて北上すれば、旅のはじまりの宮崎駅に戻る。

 

 その合間にはオフィスビルや雑居ビル、マンションなどが建ち並ぶ。中心市街地の賑わいからそっぽを向いて、さらに玄関口である駅からも絶妙な距離感。ふつうなら、駅と対を成すはずの行政の中心は、宮崎ではなんだか少し変わったところに位置している。

 これは、宮崎という町の成り立ちを現しているものといっていい。