といっても、複数の路線が集中するような交通の要衝という雰囲気には欠けている。事実上、通っている路線がひとつだけなのだから、ムリもない。2面4線の高架駅、という構造は発着する列車の数に見合っているといっていい。
それでも駅そのものはさすが県都のターミナル。高架下に設けられた改札口そのものは実に小さいが、その代わりに観光案内所から土産物店にはじまり、ファーストフードに地のものを手軽に食べさせてくれる類いの店までが並ぶ。高架下の駅舎の大部分は、そうした商業施設によって占められているのが宮崎駅の姿だ。
駅前には「まさしく“イメージしていた南国の宮崎”そのもの」の光景が…
さらに駅の西口に出ると、フェニックスやワシントンヤシが何本もそびえるいかにも南国風の立派な駅前広場。傍らにはJR九州系列の商業施設であるアミュプラザがあるし、同じくJR九州系列のホテルもある。広場のベンチでは休息しているオジさんがいれば、そのすぐ近くを歩く高校生たちの姿。アミュプラザの中には映画館も入っているようだ。
こういう駅前ならば、県都の顔というにふさわしい。さらに、宮崎空港に到着した旅人も空港直結の宮崎空港線に乗ってまず宮崎駅にやってくることが多いだろうから、旅人にとってもはじめて触れあう本格的な宮崎の風。フェニックスが出迎える駅前広場など、まさしく“イメージしていた南国の宮崎”そのものであった。
偏見と指摘されたら反論もできないが、宮崎のイメージはとにかく南国一本槍といっていいくらいだ。
そういえば、毎年春先にはプロ野球やJリーグのキャンプ地として大いに賑わう。まだまだ冷え込む時期、少しでも暖かい場所で鍛錬を、となるとその候補地に宮崎はぴったりなのだろう。ちなみに阪神ファンの筆者はキャンプ地としての宮崎にはあまり興味がない。
また、冬でも比較的天候に恵まれるということで、わざわざゴルフのためにやってくる人も多いとか。さらに宮崎市街地から南に進んで青島方面に行くも良し、北側のシーガイアでリゾートも良し。案外、こうしてみると南国・宮崎も悪くない。
そんな恵まれた気候条件もあってか、かつて宮崎は新婚旅行のメッカだったという。