不向きでも「賞レースで何かは取りたい」
蓮見 俺らのコントには、全部いらない言葉が1ページ続くような、リアリティを出すためだけのセリフが本当に多いんですよ。だからやっぱり賞レースには向かないんですよ。尺がどうしても長くなっちゃうんです。
――家でのご飯にケンタッキーとマック買ってきたら「お前、M-1見るのかよ」みたいな(笑)。
蓮見 あれも賞レースに不向きな固有名詞ですね(笑)。
――蓮見さんは賞レースをどのように捉えていますか。
蓮見 でも……何かは取りたいなと思ってます。演劇とお笑い、両方やっている以上は。今って、パワーがマックス10あるとしたら、5:5で振り分けて、どっちも中途半端で終わってる状態で。そのままでは嫌なんで、これがちょっとずつ上がっていって、両方でちゃんと評価されるようにならないと、コント側から始めたことへの説明がつかない。決勝に出て、めちゃくちゃ面白かったなっていう印象を持ってもらいたいです。そこが目標かもしれないですね。
――最近若手の方にインタビューすると、キングオブコントなりM-1なりで優勝したいけど、それによってテレビで売れたいとか、そういうのとも違うんですよ、という言い方する人が多いんです。
蓮見 そうなんですか。
若さと目新しさで注目されたり叩かれたり
――それってすごく健全なことなのかもしれない。それこそ「芸人なんですか? 演劇やってる人なんですか?」みたいに聞かれるのも、別に本当はどっちでもいい。私のようなインタビュアーが「どこで売れたいんですか?」「夢は何ですか?」「帯番組持ちたいですか?」とか、ステレオタイプな「売れる」を押し付けてるんですよ。
蓮見 そうなんですね。「売れる」というのもあやふやな言葉になってきましたよね。
――「天下取りたいです」と言われると「ですよね。芸人さんですもんね」って、おさまりいいからなんか安心しちゃう。だから蓮見さんのようなちょっと違う考え方を持った人が出てくると、拒否反応みたいなものは確かに出るかもしれない。
蓮見 そうですね。別に今までもいたと思うんです、東京で演劇やりながらコントやってた人たち。たまたま俺たちはネタ番組に出たがって出していただけて、出たがらなかったけどテレビに出たらめちゃめちゃ面白いと思われるような人たちは、絶対今までもいたはずなんですよ。なので、新しい集団ではないし、むしろ俺たちは古臭い。歴史を辿っていったら全部をやっていたわけですし、ショーパブなどでは。それなのに今は若さと目新しさで注目されたり叩かれたりしてるっていう状況なんで、ほんっと早く35歳ぐらいになりたいですね(笑)。