僕はめちゃくちゃ大衆に刺さりたい
――35歳(笑)。あとお笑い有識者的な大人に褒められすぎているから、文句言いたいだけの人もいそうです。
蓮見 それもあるかもしれないですね。だから、(いとう)せいこうさんと佐久間(宣行)さんのせいかもしれないです(笑)。だけど、僕はめちゃくちゃ大衆に刺さりたくはあります、ずっと。
――大衆に刺さりたい。
蓮見 賞レースを目指すのもそうで。最終的に、「劇場に初めて来るお客さん」がいないと、気持ち悪い集団になっちゃう。ガラパゴス化じゃないですけど。
俺、酒屋でバイトしてたんですけど、スナック、居酒屋とか全部配達に行ってたんです。で、いつどの店に行っても、近隣の飲み屋の店長しか客がいないんです。それって同じエリアの飲み屋の中で同じお札が回ってるだけじゃないかなと思って。酒屋のレジでお札の番号を控えてみたら、新しいお札は入ってきてないことに気づいたんです。
――(お札の番号を控えていたのが)それはすごい。
蓮見 そういう状況を作り出してはいけないってすごく思ってます。あと当時のスナックの店長、嫌なやつだったんで、ああなりたくないっていうのもずっとあります。
――それが何となく成立しちゃう世界でもあるんでしょうね。
蓮見 劇団が他の劇団のチケットを買って、1回客演で出させてもらったから義理で見に行かなきゃっていうので客席を埋めて。それぞれの浮き沈みの繰り返しでここまで来ているのに、外部と交わろうとはしない。仲良い人だけでやって……っていう。
――それ、サブカルライターのトークイベントと同じ仕組みです。
蓮見 (爆笑)。
――そういうのはどこのジャンルにもあるんですね。
蓮見 だからウエストランドさんの漫才がウケるし。あれがウケてるのがせめてもの救いです。
――もともと劇場って「大衆」だったんですもんね。テレビができる以前は。
蓮見 きっとそうだったはず。その時代を生きていないから、その時期の熱量は分からないですけど、音響さん、照明さん、舞監さんとか長い方に聞くと、やっぱり本多(劇場)の、階段に座ってギュウギュウで見てるような、立ち見もいて……みたいな時代があったと聞くし。今、俺らのチケットが即完するのを「久々にこういう集団が出てきたね」って、(東京)サンシャインボーイズとかを知ってる方たちが喜んでくれるとすごくうれしいです。そういうつもりで演劇を始めてないから、演劇側が思ったより受け入れてくれるとすごくうれしいんですよ。