昨年末に全員バイトを辞められた
ダウ90000を組んだ時に、「全員バイトを辞めるまでは絶対続けます」って言って、年末で全員辞められたんです。それって配信のおかげで。配信をどう売るか、価格をどのタイミングで上げていくかというのは、本当に悩みました。俺は演劇を通ってなかったので、公演に音響さんや照明さんの力がどれだけ影響するかというのも全然分かっていなかったんです。今のままでは彼らにちゃんとした金額を払えないなと思って、チケット代をちょっとずつ上げたけど、お客さんは増えてくれて、全部結果論なんですけど、タイミングを間違えずにできているのかなって。
――蓮見さんにはビジネスの視点と勘所がありますよね。
蓮見 俺が変なことをしたら7人が死んじゃうんで。
――ビジネスの視点って、アーティスト的なものとは真逆に捉えられがちですが。
蓮見 商業的なことを嫌がる人たちをかっこいいとも思うんですけど、でも俺は貧乏は嫌だから。「貧乏じゃないレベルでライブができればいい」でやってる。極端なところは取らずに、両方ちょうどいいところで。7人とりあえず食えるようになってからじゃないと、かっこいいことも言えないですし。それが叶ったのが昨年末で、今ほんと本気の時期。
――本気2023ですね。
蓮見 それはちょっと嫌な見出しですね(笑)。
――「新進気鋭」や「天才」より、「蓮見の本気2023」はダサい(笑)。
蓮見 俺は2020から結構本気ですよ(笑)。
――そんな蓮見さんが、これだけは達成したい目標はありますか。
蓮見 自分らの劇場が欲しいです。今日もコントでコンロを使わせてもらったのは本当にうれしかった。舞台上で火が起こせるとか、自転車を漕げるとか。チャリは特に厳しいんですよ、ゴムの跡がついちゃうから。そういうことをできる劇場を毎回探して……劇場を探してる時期に話の内容を決めなきゃいけないのって、すごく大変で。じゃあ自分で劇場を持ってたほうが絶対楽だなってずっと思ってます。それでいつか、これはえらそうな話ですけど、俺がめちゃくちゃ売れて「俺が選んだこの人」っていうことだけで、劇場にお客さんを呼べるような状態になってたらうれしい。
――キングオブコント優勝の1000万を劇場設立の資金にしましょう。
蓮見 そうですね、どうせ1000万割る8だし、1人頭そんなもらえないんで(笑)。
撮影=榎本麻美/文藝春秋
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