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 ある分野で自信満々に回答してくる人工知能の間違いを発見することができるのは、その分野でデータのない細やかな問題について知悉している人たちだけです。ひろゆきがもっともらしいことを言っていて、事実に基づいてそれは違うよと指摘する仕事の価値が上がるのであって、特定の分野をちゃんと勉強した人か、実際に両手両足を動かし、機械では代替できない仕事に従事する人が評価される世の中になるのではないかと思います。

専門性を担保できない有資格者は厳しいことに

 別の見方をするならば、他の人と同じことをやるような仕事はいままでも自動化の対象となり続けていたけれど、かなり状況が異なることでも価値や重要度を見極めながら判断していく仕事は人間にしかできません。状況を見ながら変化を見極めるために考えたり、提案したりする仕事は、どんなに言語モデルが一般化しても陳腐になることはないし、むしろ言語モデルの人工知能を使いながら判断の根拠となる情報を集めていくことは当たり前の世の中になっていくことでしょう。

 ただし、いまの相場について人工知能で検索しても、たまにとんでもねえクソみたいな間違いを堂々と自信満々でぶっ放してくることがあり、部下にひろゆきを持った気分になるので注意が必要です。

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 極論を言えば、価値のある分野の専門家がまず生き残ります。

©️AFLO

 ただ、その専門職、例えば医師や弁護士のように人間の集まりである社会での決めごとがあり、それに携わる人を選任するために国家が資格を作り、その知識量や正確さを計る試験などを経て社会がその仕事の品質を保証するような仕事は、将来的に脅かされることは間違いありません。最先端のもの以外、全部人工知能に置き換わるシナリオは可能性として当然あり得るからです。

 人工知能の進展により、いままでは国家資格の有識者の集まりだったはずの職業が、実は過去やってきたことの繰り返しでしかない仕事領域で人工知能に置き換えられ、専門性を担保できない大量の医師、薬剤師、歯科医師、弁護士、司法書士、社労士あたりが厳しいことになるのも考えられます。

「人工知能にできないこと」に特化できる専門性があるかどうか

 重要なことに携わるのに繰り返し何かをしなければならず、その繰り返しができる能力があるかないかを試験で判定して資格を与えているものは、タクシードライバーだろうが町医者だろうがあまり変わらないぞということになると、遠隔医療で主訴から初診が人工知能で自動化されて診療所が大量廃業なんて未来は起き得るわけです。薬剤師も司法書士も同様です。

 逆に、特定の診療科で専門性の強い臨床や研究に従事している最先端の医師は、むしろこれらの人工知能がその診療科で下す判定の内容が正しいのかどうかをジャッジし得る立場になるかもしれません。それは単純な物事の優劣ではなく、人工知能全盛の時代が本当に来るのだとするならば、必然的に人工知能にできないことに特化できる専門性があるかどうかですべてが決まってくるものなのでしょう。