今から25年前、立て続けに「オヤジ狩り」被害にあった俳優の大和田伸也さん。ときには殴られ、またある時はメイクで隠すほどの傷を負ったことも……。
それでも大和田さんが今も昔も、若者たちに絶望しない理由とは? インタビューを通じて、「理想」を追い続けるその信念に迫った。(全2回の2回目/前編を読む)
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若者に頭を叩かれたことも…「オヤジ狩り」の記憶
――大和田さんが「オヤジ狩り」に遭ったことも印象的でした。しかも半年のうちに3回も。
大和田 僕はもともと『水戸黄門』の格さん役のイメージが強かったんでしょうね。黄門様の隣で、格さんが悪人たちに印籠を突きつけて、「静まれ、静まれ! この紋所が目に入らぬか!」というクライマックスシーンが名物でした。
それがあまりにも有名だったのか、街中で「印籠を出してみろ」と言われるなど、絡まれることもしょっちゅうでした。
映画上映中に大きな声話しているカップルを注意
――この「オヤジ狩り」事件が、大きく取り上げられたのは25年前の1998年のこと。映画館でおしゃべりする若者、自転車で危険走行する若者、路上喫煙する若者をそれぞれ注意したら、復讐にあったとのことでした。
大和田 映画館では、いよいよクライマックスという時に、カップルがまわりのお客にも聞こえるような声で喋っていて。ほかのお客さんが舌打ちしているのが、僕にもわかったんです。
みんなチラチラと2人のほうをみて、「注意したいけどできない」という困った雰囲気。何とかしなきゃいけないと思い、「すみませんが、今いいところなので静かにしてください」と直接お願いしたわけです。
そうしたら映画が終わったあとに、僕が出てくるのを待ち伏せしていたみたいで。男が追いかけてきて、その勢いのまま頭を叩かれました。