その後も数回、記者会見や複数の記者が本人を囲み、ひとりずつ質問する“囲み”と呼ばれる形式等で彼女を取材したが、高岡の考え方が終始一貫していることに気づいた。決まって彼女の口から出るキーワードは2つ。
「自分の人生においてすべてにこだわりがない」と、「やってみないとわからない」というものだ。
こだわりがないから常に新しいことができる。やってみないとわからないから次のチャレンジができる。高岡の芸能活動はおろか、人生そのものがこの2つの哲学に貫かれているように思えた。
ヌードになることも彼女にとってはこだわりがないから、そしてやってみないとわからないからやってみた、のだろう。ある意味、高岡は生まれながらの表現者、女優といえよう。
ここでもうひとつ、彼女にとっていちばん大事な、第三のキーワードが登場する。
「何が自分にとっての幸せなのか?」だ。
高岡早紀の魅力の源泉は…
モデルに始まり、CM、歌手、写真集、舞台、映画、ドラマ……と、順風満帆に進んでいった感のある芸能歴。そして、23歳での結婚、出産、産休、子育て、離婚、シングルマザーを経ていったプライベート。
いずれもこだわりなく、やってみないとわからないからやってみた。でもその都度、“自分にとって何が幸せか”を考えて結論を出しているから大きな後悔もない。“魔性”的魅力を放ちながら、後ろ暗さを感じさせないのは、そんな彼女のポジティブ思考によるところが大きいように思う。
近年は主演ドラマ『リカ』(’19年)がヒットし、’21年には『リカ~自称28歳の純愛モンスター~』のタイトルで映画化もされた。彼女が演じた主人公・リカは“自称28歳のストーカー”だ。22年を経て、初主演ドラマ『ストーカー 逃げきれぬ愛』の主人公・岸本海と真逆の役を演じたのだ。
‘21年には新たなチャレンジ、人生初のエッセイ集も上梓した。そのタイトルがズバリ「魔性ですか?」(KADOKAWA)。「これはやられた!」と思った。この“明るい魔性”“陰のない魔性”こそが高岡早紀の色気の秘密であり、彼女が幾つになっても視る者を魅了し続ける所以なのだろう。