朝ドラこと連続テレビ小説「舞いあがれ!」(NHK総合 脚本:桑原亮子)が最終回を迎えた。シリーズ107作めということで、よくそれだけネタが尽きないなあと感心しながら、「舞いあがれ!」の成果を検証する。少なくとも3つの成果があったと感じる。明るい希望と近未来の夢とニューヒロイン像を描いたことは評価できる。

ドラマ『舞いあがれ!』NHK公式サイト

希望に溢れたラストは時代が求めるもの?

 まず、明るい希望。ヒロイン・舞(福原遥)は航空機パイロットの夢を一時は諦めたものの、最終的には“空飛ぶクルマ”で五島の空を飛ぶ。空飛ぶクルマのネジは舞の実家の町工場が作ったもので、志半ばで亡くなった父・浩太(高橋克典)の悲願であった飛行機の部品を作ることも叶えられた。

 まわり道はしたものの、舞の夢も、父の夢も叶った。さらに夫・貴司(赤楚衛二)もスランプから脱して歌人として活躍する。この展開に、やりたいことを結果的にすべて叶え過ぎではないか、と眉をひそめる視聴者もいるにはいる。だが、ハッピーエンドでなければないで、暗く、希望がない、という意見があがるのが朝ドラである。

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 例えば「おかえりモネ」(21年度前期)は東日本大震災の被害を受けた地を舞台にしたため、まだまだ問題は山積みだという控えめなまとめ方だった。それと比べると「舞いあがれ!」はコロナ禍を経た、2027年、振り返ればいろいろあったけれど、あちこちでの体験や出会った人たちがほぼ全員、空飛ぶクルマ完成のために結集し、まるでおとぎ話エンドのようだった。

 兄・悠人(横山裕)が投資家を紹介してくれ、五島で出会った星が好きな少年・朝陽君(渡邉蒼)がクルマの計算式を手伝い、浩太の元勤務先の同僚・荒金(鶴見辰吾)が空を飛ぶために必要な型式証明取得を手助けする。大学のOBは続々集まってきて……。最終回では柏木(目黒蓮)まで再登場した(クルマの役には立っていなかったが)。

 これまで関わった人々が終盤、集まることは“朝ドラあるある”だが、最終回にこれだけの人数が集まったことはかなり好成績ではないだろうか。