親子で楽しく語彙力を身につけられる本書。企画のきっかけは、ニュース番組の街頭インタビューだった。
「子どもたちが『楽しかった』『面白かった』のような同じ感想しか口にしていないと、ふと感じて。私自身の幼少期にも思い当たる節があり、問題に普遍性を感じたんです」(担当編集者の加藤実紗子さん)
類書を検討し、低年齢層向けの「絵図鑑」と呼ばれるジャンルに近い雰囲気に。ステップ1から4まで読み進めると、具体的な状況に応じて言葉を選び、使う能力が鍛えられていく。
「ステップ4の姫路城や原爆ドーム、冨嶽三十六景といった具体的な図像を題材にして学ぶパートは、著者からの発案で入れました。何かを観るときに『目の付け所』がわかっていないと言葉が紐付けられない。語彙を増やすためには観察眼が大事だという著者の視点は、大人の私にとっても目から鱗でした」(加藤さん)
さらにステップ5として、文豪の美文も掲載。頭の柔軟な子どもだからこそ、大人でも苦戦するような難しい知識もどんどん吸収できると考える著者の姿勢が、本書にも反映されている。
リビングなどすぐ手に取れる場所に置き、会話で「やばい」「うざい」などの言葉が出たら、すぐその言い換えを探して語彙を増やす。そんな使い方もできる実践的な作りが、口コミでのヒットに繋がった様子だ。