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「物件の申し込みをするまで帰さない」「謎の初期費用」「敷金ゼロのはずが…」本当にいる“ヤバい不動産屋”の特徴

2023/04/13

genre : ライフ, 社会

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 引っ越しのハイシーズンを迎え、新居で新しい生活を始めた人も多いことだろう。しかし、なかにはマンションやアパートを契約するときに「不動産屋で納得のいかない対応をされた!」という人もいるに違いない。

 ヤバい営業マンの手口から法律違反のおとり物件、入居時や退去時の謎の費用まで、被害に遭った人や仲介業者が明かす「悪質な不動産屋の手口」を紹介する。(取材・文=押尾ダン/清談社)

©iStock.com

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悪質な不動産屋の「常套手段」とは

 この春に東京都内で1人暮らしを始めた会社員の斉藤正志さん(仮名、23歳)は、大手不動産情報サイトで気に入った物件を見つけて業者に連絡したとき、こんな対応をされたという。

「メールで問い合わせると『とにかく来店してください』の一点張りで、いっこうにその物件の内見をさせてくれない。仕方なく店舗まで行ったら、若い営業マンが出てきて『その物件はさっき決まっちゃったんで、代わりにこの部屋はどうすか?』と、メチャクチャなれなれしい口調で別の物件の内見をすすめてきたんですよ。

 しかも、押しの強さに負けて部屋を見に行くと、今度は『申し込みをしろ』と強引に迫ってくる。いくら断っても、とにかく申し込みをしてくれと異常にしつこいんです。最終的にキレ始めて、メチャクチャ気まずくなりました。あんなヤバい不動産屋は初めてです」

 斉藤さんのケースには悪質な不動産屋特有の手口がいくつか隠されている。たとえば、そのひとつが悪名高き「おとり物件」だ。東京都心部に店舗を構える賃貸仲介業者のA氏が解説する。

「おとり物件とは、入居者の募集が終わっているにもかかわらず、仲介業者が集客のために不動産情報サイトに広告を掲載し続ける物件のことです。相場よりも賃料が安かったり、内装や設備が良かったりと、優良物件をおとりに客を集める古典的手法です。

 法律で禁止されているので最近は減りましたが、引っ越しシーズンになると、客付け(客を物件に案内して契約を結ぶ業者)メインの仲介業者がよくこの手を使います。そして、おとり物件で客から問い合わせがきたら、強引に来店させるのが常套手段です」