連続テレビ小説『舞いあがれ!』(NHK総合)が3月31日に最終回をむかえた。本作は、長崎・五島列島で「ばらもん凧」に出会い、空にあこがれたヒロイン・舞(浅田芭路/福原遥)が、人力飛行機のパイロット、航空学校でパイロットの訓練を経て、家業のねじ製造会社を再建、町工場どうしをつないで東大阪を盛り上げるため起業。そして、未来の乗り物「空飛ぶクルマ」の開発に携わるという物語だ。

「空」をキーワードに、これほどたくさんの要素を盛り込んで、全てがひとつにつながり「舞いあが」った最終回。これまでに舞が関わった人々が見守る中、舞の「空へのあこがれ」の原点を授けた祖母・祥子(高畑淳子)を乗せ、五島の美しい島々を眼下に、舞が操縦する「かささぎ」が飛ぶ。半年間の物語の大団円を、たくさんの視聴者が感無量で見届けた。

主人公・舞を演じた福原遥 ©産経新聞社

「ねじ」という一見地味な部品に象徴される「名もなき縁の下の力持ちたち」にスポットを当て、誰も置いてきぼりにしない「社会的包摂」の実現への祈りがこめられた物語だった。

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 ヒロインの舞は「ねじ」の役目を果たしながら、人と人をつなぎ、未来に目を向け、イノベーションを創り出す。舞や、その周りの人々の生き様を通じ、「どんなに失敗しても、回り道をしても、その道程はすべてその人の『財産』であり、決して無駄ではない」という力強いメッセージがこめられていた。

脚本家複数人体制への疑問視も

 しかし、一部の視聴者からは批判も上がっていた。「舞が旅客機のパイロットになると思っていたのに、話が違う」「『ねじ』『町工場』というテーマが地味」「舞のやりたいことがコロコロ変わりすぎ」「それぞれのエピソードや『○○編』がブツ切りで、つながっていない」等々の「不満の声」が散見された。

 毎日15分、2クールで放送される「朝ドラ」は、視聴者の日常生活に入り込んで、半年の間、さながら「人生の並走者」のようなものだ。毎日見るものだから、それだけ視聴者の思い入れは強くなるし、細かいところにまで目がいく。引っかかるところがあれば文句も言いたくなる。朝ドラ視聴者は何かと「うるさい」のだ。筆者もまた、長年朝ドラを見続けてきた「うるさい」視聴者のひとりである。