テレビなどでも頻繁に流れる「転職エージェント」のCM。登録すれば、すぐに条件の良い転職情報がどんどん舞い込んできそうなイメージだが、実際は担当者である転職エージェントと面談し、二人三脚で良い転職を目指すことになるという。
転職が成功するかどうかのカギを握る転職エージェントだが、求職者側からは担当者を選べないことが多い。つまり、どんな人物が担当になるかは運次第。人生を左右する一大事なのに、ダメなエージェントにあたってしまったら取り返しがつかないことになってしまう。
そこで、転職活動中におかしな担当者に巡り会ってしまったというエピソードを紹介しつつ、業界に詳しい退職学®研究家であり、『ゼロストレス転職』(PHP出版)の著者である佐野創太氏に「ヤバい転職エージェント」の実態について聞いた。
関わる前に知っておくべき「傾向」と「対策」
転職エージェントの主な役割は、転職希望者と人材を求めている企業の橋渡しをすること。大手転職サイトなどでは扱っていない非公開の求人情報を持っており、転職者に対してマンツーマンのきめ細やかな対応ができるというのが強みだ。
実際に転職を成立させると、その年収の30%ほどのフィーを得られることが多く、なかなか転職市場にいない人材の場合は50%などと高騰することもあるという。身近な例でいえば、不動産仲介業に近い職業だ。
「転職エージェントは、様々な企業の求人を含めた内部情報を握っていて、転職後の年収交渉までしてくれる。求職者にとっては魅力的にうつる存在だと思います。でも、なにも知らずに任せきりにするのは、無免許でクルマに乗るようなもの。関わる前に、傾向と対策を練っておいたほうがいいですね」(佐野さん)
しかし一般転職者にとっては、転職エージェントは馴染みの薄い存在であるのも確か。一概に傾向と対策と言われてもピンとこないだろう。
「転職エージェントにもいろいろなタイプの人がいて、求職者のことをちゃんと考えてくれるタイプと、数字しか追ってないタイプに分かれると思います。前者を仮に天使系、後者を悪魔系と呼ぶことにしましょう。
悪魔系エージェントは、基本的に企業や所属会社の利益しか考えていない。会社に所属しているエージェントも、そもそもノルマがキツくて求職者のことをじっくり考えている時間がない。なかには、企業側の求人担当者とズブズブになって、キックバックを受け取っているような、かなりブラックなエージェントも存在します。
このような悪魔系エージェントたちは、転職者のことを『1本』『2本』と数えたり、企業に対して『ちょっとタマ減ってきたんで、そろそろ補充しますね』みたいな軽口を叩く。顧客の前では言わなくても、電話してたら後ろからそんな会話が聞こえてきたという話は、転職希望者からよくききますね」(佐野さん)