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悪魔系エージェントの3タイプ「放置」「強引」「説教」

 佐野さんによると、業界に巣食っている悪魔系エージェントは、「放置」「強引」「説教」という3つのタイプに分類することができるという。まず「放置エージェント」とは?

「担当についているものの、あまり動いてくれないタイプですね。転職希望者が『どんな会社なんですか?』と聞いても、『私はここの社員じゃないんで、よくわかんないです』とか、答えにならないことを言ってきたりする。個々に対処するのが面倒なので、言われた通りに右から左にマッチングするだけなんです。求職者からみれば悪魔系のエージェントなんですけど、本人は悪魔系の自覚もないと思いますよ」(佐野さん)

 初回の面談で「この30社を上から受けて面接に進んだときだけ連絡ください」と言い放たれたり、面接に受かったのでどのような対策をすればいいのか、と尋ねたら、メールでひとこと「素でいいです」と返信が来たというケースもあった。

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 転職希望者の希望を聞き入れない、「強引」タイプのエージェントもいるという。

「とにかく入れたがる、決めさせたがるタイプが『強引エージェント』ですね。報酬にしろノルマにしろ、常に数字を追い求めているので自分の都合で勝手に事を進めるんです。仕事熱心といえばそうですが、ちょっと行き過ぎてしまうと転職希望者にとっては害悪となります。

 例えば『転職活動は行動量で決まりますから!』とか言いながら、条件にあてはまりそうな50社くらいをぜんぶ受けさせたりとか、求職者が迷ってる間に勝手に応募メールを送ってしまうなど、無理をする。クレームを入れても、『優柔不断だと転職できないですよ!』と、力技で説得してくるんです」(佐野さん)

 すべてを強引に決めてしまうので、あとから「聞いていた仕事とかなり違う」というトラブルに発展することも多いという。野田裕太さん(仮名・37歳)も強引タイプのエージェントの被害にあってしまった。

「在職しながら転職活動をしていたので、内定が出てもすぐには入社できないと最初に言っておいたのに、転職先の企業から『内定受諾後すぐに入社できるって聞いてますので、来週からお願いします』という連絡が来たんです。どうやらエージェントが私の情報を勝手に変えて伝えていたようで……。最終的には、いまの会社にも、前の会社にも、すべてに対して迷惑がかかってしまいました」

 エージェントの言動が原因で、転職先でトラブルになった事例は少なくないようだ。与田信介さん(仮名・34歳)は自身の体験をこう語る。