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 同作品のプロデューサーである遠藤雅也氏はこう語っている。

「佐藤(純彌)監督は別の子を推そうとしたんだよね。寒村で暮らす娘で、親が殺されるのを目撃したショックから予知能力が表れるという設定には、その子の方が相応しかったというのが理由です。演技が未経験の薬師丸では難しいと思ったのか、佐藤監督は、薬師丸が頼子役になるなら監督を降りるとも言っていた」(『週刊現代』2022年6月25日号)

「申し訳ありませんでした。あの子は天才です」

 佐藤監督は演技経験のなさを懸念したが、そのとき春樹氏は「目の輝きが違う」と薬師丸をひたすらプッシュ。結局「鶴の一声」に逆らえる人間がいるわけでもなく、予定通り薬師丸ひろ子が抜擢されたが、後に撮影が進んだ際、佐藤監督は「申し訳ありませんでした。あの子(薬師丸)は天才です」と春樹氏に謝ったという。

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若かりし日の順子ママ

「人生とは本当に分からないものだと思います」

 そう語るのは順子ママである。

「私があのとき、写真を春樹さんに見せなかったら、日本の映画の歴史もまた変わっていたかもしれません。私が経営してきたクラブは、言ってみれば人との出会いによって、小さな偶然が積み重なるサロンでもありました。それによって、多くの幸せを提供できることが、私たちの生きがいでもあったのです。薬師丸ひろ子さんが日本の宝となって活躍されたことは、私にとっての喜びでもありました」

 たった1枚の写真が生み出した奇跡の物語。順子ママの証言は、薬師丸ひろ子の女優人生にいっそうの輝きをもたらしてくれる。