ゆなな いや、そんなことはないですよ。元々はインドア派でした。
それに先ほどもお話ししたように、最初の頃は「場所が場所だから1人でラブホに行くのはちょっとな。できれば誰かと一緒に行きたいな」と思っていたんです。だから、初めて蒲田の昭和ラブホに行ったあと、他のところに行くのはしばらく躊躇していました。
でもそう思っているうちに、行きたいと思っていたラブホがどんどん閉店していってしまって……。行きたいところに行けなくなって後悔をするくらいなら、1人でも行こうと決意して、それからは毎週末のように全国を駆け巡るようになりました。行動的になれたのは、昭和ラブホに出会ったからこそ、ですね。
昭和ラブホと遊郭が「似ている」と感じる理由
――やはり閉店してしまう昭和ラブホは多いですか。
ゆなな 昭和ラブホは家族経営のところが多いんですよ。70代、80代のご夫婦がふたりで経営されているとか。だからある日突然、閉店になってしまうことも結構あるんです。
行きたいホテルに電話で問い合わせてみたらつながらなくて、「おかしいな」と思いつつも現地まで行ったら、1週間前に閉店していた、なんてこともありました。なので行きたいホテルがあったら「明日にでも行く」くらいの行動力を持つようにしています。
――躊躇している間に二度と行けなくなるのは、悲しいですね。
ゆなな 大学生の頃、遊郭文化の研究をしていたんですけど、昭和ラブホは遊郭に似てるなって思うんです。どちらも儚いというか、ロマンがあるというか。
今でも跡地はありますけど、遊郭そのものにはもう絶対に行けないじゃないですか。そんな未知の世界だからこそ、好奇心が掻き立てられる。
昭和ラブホも、それと同じ感覚だと思います。私にとっては未知の世界で、遊郭と同じように、きっと近いうちになくなってしまう。でも、昭和ラブホにはまだ体験できる場所が残っている。だから行けるうちに行かなきゃって気持ちが強いんです。
撮影=志水隆/文藝春秋
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